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2019年06月08日

少しずつ・・・燃えていく

これは知人男性から聞いた話。



彼は今でこそ家庭を持ち、父親として頑張って働いているが以前は時代が



就職氷河期だった事もあり、大学は出たものの正社員には成れず、かなり



苦しい生活を余儀なくされていた。



地元に帰れば父親のコネで定職に就けそうだったのだが、やはり都会の生活



に慣れてしまった彼には地元に帰り、そこで生活する、という選択肢は



無かったようだ。



ボロボロのアパートは家賃が安く、貧乏な彼にはうってつけだったが、それでも



引き籠る様な生活を数日続けると、生活費が底をついてしまい、一時的に



バイトに精を出した。



つまり、その頃の彼は自堕落な生活の中で何の楽しみも無く、ただ日々を



送っていたようだ。



そんな彼にとって唯一の楽しみは携帯を使って色々なサイトを見て回る事だった。



今と違ってそんなに多種多様なサイトが在った訳ではなかったが、それでも



毎日、暇を持て余していた彼にとって、携帯を見ている時間だけがある意味



現実逃避出来る時間だったのかもしれない。



そして、その頃、テレビのニュースでも話題になっていたのが、所謂



「自殺問題」だったのだという。



勿論、彼に自殺願望があった訳ではなかった。



ただ、彼にしてみれば自殺を考えるほどの人間というのはある意味、自分よりも



不幸な人間なのだと思え、少しだけ優越感に浸れるものだったのかもしれない。



そして、彼は自殺掲示板というものを覗いてみる事にした。



ほんの興味本位で・・・・。



しかし、彼が覗いてみた自殺掲示板というものは、彼が考えている様な暗く



閉ざされた空間ではなかった。



本当に自殺を考えている人間が集まっているのか?と思える程、そこに集う



者達には、元気もあり明るさもあったという。



そのせいか、彼はそのサイトが自殺掲示板である事をすっかり忘れて掲示板での



会話に夢中になったという。



日頃、社会の中で自分が思っている不平・不満がそのサイトにいる人達とは



共有できた。



だから、いつしか、彼はそのサイトに顔を出すのが毎日の日課になってしまった。



そして、そのサイトの中でも特に仲の良い仲間が5人ほど出来たという。



彼は自分が書き込む世の中への不平・不満に対して、その仲間達がいつも



同調してくれる事に喜び、いつしか価値観を共有できる一生涯の仲間なのだと



思うようになっていく。



そんなある日、彼はいつものようにその日に感じた普遍・不満を書き込んで



いると、



それなら会おうよ!



会って話そうよ!



という返事が返ってきた。



彼としても掲示板を通してのやり取りにはかなりの面倒さを感じていた事もあり、



即答で会う事を了承したという。



市内のファミレスで待ち合わせる事にした。



集まるのは、そのサイトで最も仲の良い男3人女2人、そして彼を含めると



合計6人だったという。



彼は初めて会う仲間に緊張したらしく、自分が持っている中でも一番気に入っている



服を着ていく事にした。



待ち合わせの場所に行くと、既に他の5人が集まっていた。



どうやら、その5人も実際に会うのは初めてだったらしく、それを知って彼の



緊張もいくぶん和らいだ。



そして、実際に会ってみると、その5人はとてもお洒落であり、どこにも暗い感じが



しなかった。



特に2人の女性は、どこから見ても美人といえるだけのルックスをしていた。



それから、ファミレスで時間をつぶし、話も盛り上がった。



彼はその時会っているのが自殺サイトの仲間たちなのだということを完全に



忘れていたという。



そして、夜になった頃、5人の1人がこう提案した。



俺は今、小さいが一軒家に住んでいるんだ。



良かったら、これから俺の家に移動して飲み直さないか?と。



他の4人はすぐに賛成した。



そして、彼にも夜の予定など何も無かったから、そのまま流されるように



その飲み会に参加する事になったという。



ファミレスからその家まではタクシーに分乗して移動した。



タクシーに乗ってからは急に会話が途絶えたが、30分ほどで、その家に到着



したので、特に違和感は感じなかったという。



そして、その家に上がると、既に最初からその家での飲み会が予定されていたかのように



沢山の酒と料理がすぐに運ばれてきた。



日頃、美味しいものを食べる機会など無かった彼はそれだけで舞い上がってしまい、



おおいに飲み、そして食べまくったという。



最初に違和感を感じたのはその頃だったという。



彼は酒を飲んでも酔い潰れる事も無かったし眠たくなるという事も過去には一度も



無かった。



しかし、その時に限って、酷い睡魔に襲われたという。



そして、彼がウトウトし出した頃から会話が殆ど無くなり、他の5人はまるで



彼がそのまま眠りに就くのを待っているように見えたという。



その時の他の5人の表情は、無表情で無感情に見え、それが怖かったという。



そして、彼はそのまま眠りに就いた。



そして、何故かその時にはいつもは決して見る事など無い夢を見たという。



その夢というのはかなりの悪夢であり、彼はうなされる様に眠りから覚めた。



その時、何が起きているのか、理解出来なかったという。



その部屋の中には彼と、そしてサイトで知り合った5人が寝ていたのだが、



その部屋全体が真っ赤に燃えあがっていた。



まだ夢の中なのか?と思い何度も頬をつねった。



しかし、それが現実の火事なのだと分かると、彼は必死の思いで立ちあがり、



周りに寝ている5人の体を揺すって声をかけた。



しかし、誰からも反応は無かった。



このままでは自分まで焼死してしまう・・・・。



そう考えた彼は、悩んだ末に、とりあえず自分だけでも、その場から逃げようと



した。



しかし、その瞬間、間違いなく、寝ている筈の5人の顔が彼の方に向き、



恨めしそうな顔で睨んだという。



彼は、思わず、ヒッと声を上げたが、何とかその部屋から出る事に成功した。



しかし、部屋から出てみると、その家全体が既に炎に包まれおり、外からは



消防が必死に消火活動をしているのが分かったという。



彼は何処をどう彷徨ったのか、全く思い出せないのだという。



しかし、気が付いた時には、彼は消防士に助け出されていた。



そして、そのまま病院に運ばれ手当てを受けた。



それからしばらくの間、入院生活が続いたらしいが、その間、警察が来て、



色々と事情を聞かれたという。



そして、その会話の中から、他の5人が、その夜、全員焼死したのだと分かった。



体は全て炭化しており、人間の体を成していなかったと聞かされた。



ここまで書いた話は今から15年ほど前に起きた事件だ。



そして、今、彼は立派に立ち直り、家族を支える大黒柱として懸命に働いている。



あの頃とは全く事情が違うのだ。



しかし、あれから15年以上経った今でも怪異は続いている。



別に実害があったり霊障があるというのではない。



実は、彼がその仲間たちと会った時、ファミレスで全員が写った写真を撮影した。



しかし、あの事件の事を一刻も早く忘れたかった彼は、そのカメラに入っていた



フィルムを現像せず、そのまま廃棄したのだという。



だが、その事件の1年後、彼が部屋のに戻ると、1枚の写真が机の上に置かれていた。



そして、その写真があの時撮った集合写真だと分かった時、彼は凍りついた。



彼は間違いなく、そのフィルムを廃棄していたし、何より、朝、彼が



部屋を出る時にはそんな写真など机の上には無かった。



さすがに気味が悪かった彼は、その写真を近くのコンビニのゴミ箱に捨てた。



間違いなく・・・・。



しかし、翌日の朝、目を覚ますと、再び、その写真が机の上に置かれていたという。



それから彼は何度もその写真を捨てた。



しかし、その度に必ず翌日には彼の部屋に、その写真は戻って来ていた。



もう、これは何かの霊的現象だ、と確信した彼は、お寺に出向き、その写真を



供養してもらえるように頼み込んだ。



しかし、やはり、翌日にはその写真は彼の元に戻って来た。



だから、彼はその写真を捨てる事を諦め、二度と目に付かないように、厳重に



梱包し、頑丈な鉄の容器の中に納めた。



そして、それからは、その写真が彼の前に現れる事は無くなった。



そう思っていた。



しかし、1年に一度、ちょうど、あの火事があった日になると、その写真は



鉄の容器から解放されて、机の上に置かれているようになった。



そして、毎年、少しずつ、その写真がまるで燃えた様に焦げているのが分かった。



そして、それは毎年少しずつ、焦げた部分を広げつつ現在に至っている。



昨年、その写真が彼の前に現れた時は、周りの5人の姿は既に燃えて無くなっており、



彼の体も、かなりの部分が焦げて黒く変色していた。



だから、彼は言っていた。



きっと、あの写真から俺の姿が焦げて消えてしまった時が、俺が死ぬ時なんだと思う。



そして、それはもしかしたら今年なのかもしれない・・・・と。



その夜、焼死した彼らが今でも彼が死ぬのをじっと待っている、という事なのか?



勿論、安易な気持ちでそんなサイトに近づいた彼に責任はあるが、どうにか



撃つ手はないものか・・・・・。



そう思い、俺はAさんに聞いてみた。



しかし、返って来たのは、



無理です・・・・遅すぎますね・・・・。



という、つらい言葉だった。



Posted by 細田塗料株式会社 at 23:46│Comments(0)
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