2019年06月08日

助け歩求める少女

その日、彼は休日を利用して溜めこんでいた洗濯物をベランダで



干していた。



すると、何処からか助けを呼ぶ声が聞こえてきた。



助けて!・・・・誰か助けて!・・・・。



彼は慌てて声のする方を見ると、其処には小学生位の女の子が隣のベランダに



摑まって今にも落ちそうになっていた。



女の子の泣きながら必死に彼に助けを求めてきた。



もう落ちちゃう・・・・お願い、助けて!



彼は慌ててベランダをつたって隣の部屋に移動すると、その少女の手を



しっかりと掴んだ。



すると、少女も彼の手を痛いほどしっかり掴んできた。



もう、大丈夫だから・・・・。



そう言おうとして彼の体はそのままベランダから落下した。



在り得ない程の重さだった。



彼の体はそのまま落下して芝生の上に足から落ちた。



骨が折れる嫌な音と同時に鈍い痛みが体中に走った。



薄れる意識の中で彼は、自分の横に立ち、ニコニコと嬉しそうに笑っている



少女をぼんやりと見つめていた。



彼は病院に緊急搬送され、すぐに手術が施され、そしてそのまま入院と



なった。



そして、その少女は救急車の中でも、手術室の中でも、病室の中でも、



ずっと彼の横に立ちニコニコと嬉しそうに笑っていた。



そして、彼の命が助かったのを知ると、つまらなさそうな顔をして、何処かに



消えていったという。



彼はもっと早く気付くべきだった。



隣の部屋はもうずっと以前から空いたままだということを。


Posted by 細田塗料株式会社 at 23:49│Comments(0)
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