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2019年06月08日

スマホに残されていたもの

彼は仕事では、よくスマホのカメラを使っている。



現場の写真やクレーム箇所を撮影してメーカーとのやり取りに利用する事で



仕事がそれまでよりもスムーズに回るようになった。



以前は、いつも車の中にコンパクトカメラを置いておき、必要らなると



そのカメラを引っ張り出していたらしいのだが最近の



スマホのカメラの性能は素晴らしく、十分鮮明で詳細な写真が撮影できる



為、今ではコンパクトカメラを持ち歩く必要は無くなったのだそうだ。



そんな彼がある日、困った顔で相談してきた。



どうやら、スマホのの保存画像の中に、自分では撮影した記憶が無いものが



知らない間に増えていっており、それを消して良いものか悩んでいるのだという。



撮影した記憶が無く、必要の無い写真ならば消せばいいのに、と思ったが



詳しく話を聞いていくと、それほど簡単な話ではないらしい。



そこで、思い切ってその画像を見せて貰った。



すると、そこには連続写真の様に、真っ暗な背景の中に、接近して撮影した様な



女性の顔が写り込んでいた。



そのどれもが大きく口を開け、顔が斜めに半分だけ写り込んでいる。



俺の経験上、それは簡単に消してはいけない部類のものだ。



だから、俺は、



まあ、撮影した記憶が無いのなら、そのうち消えるかも・・・・。



と言うしかなかった。



そして、その後も、その女の写真は増え続けているという。



見兼ねた俺は、彼に対して、



俺がお寺で処分して貰おうか?



と聞いたが、彼は首を横に振った。



なんとなくではあるが、その写り込んだ女の顔に見覚えがある事に



気付いたのだという。



自分でも忘れている様な遠い記憶であり、はっきりとは思い出せないらしいのだが、



それはどうやら昔、彼が中学生の頃、いじめというものに加担した事に関係



しているのではないか、と言った。



そして、後日、彼はこう言っていた。



実は、先日、中学校時代の友達に聞いたんだ。



昔、いじめてた女の子はどうなったのか?と。



まだ、元気に生きてるんだよな?と。



そこまで話して彼はより一層顔を曇らせてこう続けた。



この女の事を思い出した時は、きっと俺が死ぬ時だと思う。



それだけは何となくだけどはっきり分かるんだ・・・・。



だって、今もその画像はどんどんと増えていっているんだから・・・・と。



そこまで聞いて俺には察しが付いてしまった。



きっと、そのいじめられていた女の子はもうこの世にはいないのだ、と。


Posted by 細田塗料株式会社 at 23:50│Comments(0)
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