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2019年06月09日

Aさんが伝えたかった事

これは、ある知人女性が体験した話である。



彼女は昔、霊能者というものを生業にしていた時期があった。



もっともAさんや姫等とは、雲泥の差・・・といえるレベルだが。



霊能者といっても実際には視えるという程度の能力しかなく、除霊に対しての



修行も勉強もしないまま、視様見真似で、様々な事例に対応していたそうだ。



ただ、それでも、霊障で困っている人がいたとしても、その人から話を聞いて



あげるだけで、その殆どが快方へと向かう事が多かったし、彼女の家系に



古くから伝わる水晶を持っているだけで、除霊の様な事まで行えたというのだから、



きっと、その水晶の力というのはそれなりのものだったのかもしれない。



ある意味、似非霊能者だはあったが、彼女の性格はとても真面目で優しく、



元々は人助けがしたくて霊能者として生きていた彼女を俺はどうしても



悪くは思えなかった。



だから、事あるごとに、俺は彼女の相談に乗ってあげる様にしていた。



しかし、ある時を境にして彼女は霊能者というものを辞めてしまった。



それは、かなり曰くつきの心霊スポットであり、まさに危険すぎて誰も近づかない



レベルの心霊スポットだった。



そして、お金に目がくらんだ彼女は依頼者からの要請に応じてその心霊スポットへと



出向いた。



しかし、そこで古い廃墟へと足を踏み入れた彼女は、その途中から記憶が無くなり、



気が付いた時、彼女は自分が取り返しのつかない事をしてしまった事に愕然とした。



それは、その廃墟の一番奥の部屋に在る大きな木箱に無数に貼られていた御札を



全て剥がしてしまったという事だった。



不気味な笑い声に我を取り戻した彼女だったが、時すでに遅く、彼女は逃げるように



その場から立ち去ったという。



それ以後、彼女の周りで怪異は発生しなかったが、その代りに人生の全ての



運を使い果たしてしまったかのように、彼女を不幸が襲った。



その頃、彼女には夫と3人の子供がいたらしいが、夫はその後すぐに亡くなった。



心臓麻痺だったという。



それから、彼女は、何かから逃げ隠れる様にして生活する様になったという。



やはり、夫の突然の心臓麻痺という死因が彼女には不吉な事の前兆の様に思えた



のだという。



当然、霊能者という生業も辞めた。



しかし、それだけで収まるほど怪異は甘いものではなかった。



友人に騙されて多額の借金を負った・・・・。



勤めだした仕事はことごとく解雇された・・・・。



何度も窃盗に遭い、なけなしのお金や貯金までもが奪われてしまう・・・・。



それでも、彼女は必死で生き続けた。



まだ幼かった3人の子供たちの為に。



そして、その全ての原因はあの日、あの廃墟で御札を剥がし封印を解いてしまった



自分に在ると思い、不平不満は口にせず、必死に毎日、手を合わせて祈ったという。



自分はどうなっても良いから、不幸が子供たちや周りの人達に向かわないように、と。



しかし、彼女が解いてしまった封印のツケというものは、それほど



生易しいものではなかったようだ。



その廃墟ではいつしか、単なる噂ではなく、実害をもってその場所を訪れる者達



を恐怖へと突き落した。



ある者は大怪我をし、またある者は、ずっと何かにつきまとわれ、ついには



気が狂ってしまった。



そして、厄災はどんどんと大きくなっていき、ついには行方になる者が出て、



それから、すぐに死者まで出してしまった。



全ては事故として扱われたが、その廃墟の噂を知っている者達は、そんな



ニュースを聞く度に、恐れおののいた。



だから、彼女は、ずっと心を痛めていたのだろう。



自分が解いてしまった封印が、犠牲者を増やしているのだ、と。



それでも、それに対抗できる霊力など自分には無い事も彼女は知っていた。



だから、毎日、お祈りを続け、一日も早く荒ぶる霊達が鎮まってくれるのを



待つしか出来なかった。



だが、その荒ぶる霊達というモノは、実際に封印を解いた彼女自身も許す気など



毛頭無かったのかもしれない。



それは彼女の3人の子供の中で一番年上だった娘さんが高校2年の頃に



起こりだしたという。



ある日、末っ子の男の子が高熱で寝込み、どんな治療をしても熱が下がる事は



無かった。



そして、それは2番目の女の子にも原因不明の高熱として伝わってしまい、3人の



撃ち、2人までが高熱で生死の境を彷徨う事になった。



それを見た長女は母親を責めたという。



どうして、大した力も無いのに、そんな場所へ行って危険極まりない封印を



解いてしまったのか?と。



弟と妹がこのまま死んでしまったら、私はもう貴女の事は母親とは思わない・・・。



一生、貴女を恨んで生きていく・・・・と。



それでも、彼女には何も出来る事は無く、毎日必死に祈り続けた。



そして、ついには長女までもが、高熱で生死の境を彷徨う事になってしまう。



その時の彼女の取り乱した姿はとても痛々しいものだった。



だから、俺は、またしてもAさんに頼んでみた。



何とか、彼女の力になってあげられないものか?と。



しかし、似非霊能者、いや、霊能者を生業としている者が大嫌いなAさんは、



予想通り、冷たい返事を返してきた。



自業自得でしょ?



それに、本当に恐ろしい場所だと噂になれば、その廃墟に行く様な馬鹿も



居なくなるんじゃないですか?



とにかく、私には関係の無い事ですね・・・と。



こうなると、俺は完全に途方に暮れる事になる。



しかし、彼女は心の中には誰かに助けてもらうという選択肢は最初から



無かったようだ。



高熱に苦しむ3人の子供たちを病院に託し、彼女はその廃墟へと向かった。



丸1日、滝に打たれることで体と心を清め、そして頼みの綱の水晶を持って



彼女は再び、禁忌の廃墟へと向かった。



きっと、その怪異は自分にしか鎮られないのだと思っていたのだろう・・・。



そして、その怪異を鎮めるには、その廃墟に立ち向かうしかないのだと・・・。



ある意味、彼女は自分の命と引き換えに、再びその場所を封印しよう、と



思っていたに違いなかった。



しかし、俺がそれを知ったのは彼女の無残な死体が現場近くのゴミ集積場



に捨てられていたという事実と同時だった。



俺は彼女の気持ちが分かっていただけに無念で仕方なかった。



どうにかして、彼女の最後の願いを叶えてやれないものか・・・と。



そんな時、突然、Aさんから連絡が入った。



電話口でAさんは、唐突に、



今から、以前話していた廃墟に向かいますから・・・・・。



雑用もあると思いますから、Kさんも同行してくださいね・・・・。



そんな連絡だった。



それから、1時間ほど経った頃、Aさんの車が到着した。



急いで俺はその車に乗り込り、聞いていた廃墟へと向かった。



現場の廃墟に着くまでAさんは、一言もしゃべらなかった。



そして、いよよい廃墟に到着すると、Aさんは、こう聞いてきた。



その彼女っていうのは、水晶を使っていたんですよね?



それじゃ、今からその水晶を見つけて、さっさと引き揚げましょうか・・・・と。



しかし、どうやら、その時のAさんは、内心かなり怒っていたようだ。



いつもなら、放置しておくような雑魚クラスの霊にも容赦が無かった。



だから、俺は、



なんか、気が立っているみたいだね・・・・。



彼女の代わりに再び、この廃墟を封印してくれるつもりなんだ?



そう言うと、Aさんは、



封印?



そんな事しませんよ・・・・。



私なりに、その彼女の事を調べてみました・・・・。



私はそういうタイプの人間って嫌いじゃないです・・・・。



でも、彼女の希望通りに封印なんかしませんよ・・・。



完全に根絶やしにして全て消滅させます・・・・。



それが、私の今の気持ちですね・・・・。



だから、Kさんは、今日は少し離れていた方がいいですよ・・・・。



今日の私は力のセーブが出来ない、と思いますから・・・・。



そう言って1人で先へと進んでいく。



それから10分ほど経った頃だろうか・・・・。



その廃墟自体が明るく陽の光に満ちたものに変わり、そしてその中からAさんが



退屈そうな顔でこちらへと歩いてきたのは・・・・・。



そして、その手にはしっかりと彼女の水晶が握られていた。



そして、俺に向かってこう言った。



これで、怪異は収まりますね…彼女の望み通りに・・・・。



そして、彼女の子供たちの命もこれでもう大丈夫だと思います・・・・と。



それを聞いて、俺は、



ありがとう・・・・これで全て終わったんだ・・・・。



そう言うと、Aさんは首を横に振りながら、



いえ…一番大切な事がまだ残っています・・・・。



彼女の子供たちが入院している病院へ案内して貰えますか?



と言ってくるので、俺はその通りにAさんを、病院へと案内した。



インフォメーションで病室を聞いて、俺とAさんはその病室へと向かった。



そして、長女の病室の前まで来ると、Aさんは、俺に廊下で待つように告げると、



さっさと長女が入院している病室へと入っていった。



どうやら、長女は既に高熱が引き、元気な状態に戻っていた様だった。



そこで、廊下で待つ俺の耳に聞こえてきたのは、Aさんのこんな言葉だった。



Aさん:元気になったみたいで良かったですね。

    これもお母さんのお蔭だと思って感謝しなきゃね!



長女;あの人の事は聞きたくありません。

   何の力も無いのに霊能者気取りで他人や私達まで巻き込んで・・・・。

   あんな人、死んで良かったんだと思います!



Aさん;あんたね…自分の母親をあの人なんて言うもんじゃないよ!

    それに、あなたのお母さんは人助けの為に除霊を生業にしていただけ。

    確かに、操られる様にして封印を解いてしまったのはまずかったけど。

   でも、それはある意味、不可抗力だと思う・・・・。

   それだけ強力な悪霊だったという事なんだから・・・。



長女:・・・・・・・・・・・・。



Aさん:私がわざわざ此処に来たのは、貴女のお母さんの想いを伝える為なの。

    貴女のお母さんは、必死であなた達を護ろうとしたの・・・。

    自分の命と引き換えにしても・・・・。

    そんな母親の気持ちを理解しようともしないで、「あの人」とか、

    「死んで良かった」とか言う事は私が許さない・・・。

    あなた達の母親は、貴女に蔑まれているという気持ちのまま死んでしまった。

    もう、それは変えられないけど、貴女がこれからしなくてはいけない事は

    妹や弟に、お母さんがどけだけ凄い人だったのかを伝えてあげること。

    それだけの価値がある母親だと思うと、そうでもないと、彼女が

    うかばれないよ・・・・。

    いいかな?人間の価値は霊力の凄さで決まるものじゃないから・・・・。

    そして、それは霊能者だって同じこと。

    どれだけ何かを愛してあげられて、そしてそれをどう護ったのか・・・。

    それが出来るだけで間違いなくあなた達の母親は凄い人なんだから。

    だから、貴女はこれからでも遅くはないから母親を愛してあげて。

    そして、母親の素晴らしさを周りの人や兄弟達に伝えてあげる事が

    貴女の義務だよ・・・・。

    

そう言ってから、Aさんは、さっさと病室を出てきた。



そして、その後には長女の泣き声がずっと聞こえていた。



その帰り道、俺はAさんにこう聞いた。



あれ?あの廃墟から持ち帰った水晶は?と。



すると、Aさんは、



え・・・ああ…あれは大切な彼女の形見ですから・・・・。



長女にしっかりと手渡ししてきましたよ・・・。

それにしても、あの水晶はかなりのものでした・・・・。



だから、彼女が封印を解いてしまったのは間違いなく事故ですね。



アレを持っていても操られてしまう・・・・。



そんなレベルの相手だったという事です・・・。



でも、あれを持っていれば、誰でもある程度の霊能力は使えるかも知れませんね。



例え、本人に何の力が無くても・・・・。



あっ、それってKさんの守護霊と同じって事じゃないですか・・・・。



そう言って、可笑しくて仕方がないといった様子で、1人で笑っていた。



そして、俺はいつもこう感じてしまう・・・。



どうして、こんな風に俺を小馬鹿にして楽しんでいる様な何の徳も積んでいない



Aさんにあれだけの力があるのだろうか?と。



まあ、確かに俺にあんな力があったとしても単なる宝の持ち腐れになってしまうのは



言うまでも無い事だが・・・・。


Posted by 細田塗料株式会社 at 18:28│Comments(0)
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