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2019年06月09日

借金取りが来なくなった理由

知人は子供の頃かなり貧しい暮らしをしていた。



それでも小学校低学年までは、いたって普通の家庭だったそうだ。



会社員の父親とパートで働く母親。



そして、2歳年上の姉。



その4人で、裕福とはいえないまでも、それなりに幸せに暮らしていた。



それが一変してしまったのが、彼が小学5年の時。



別に、父親がギャンブルで借金をしたわけでもなかった。



本当によくある話のなのかもしれないが、彼の父親が親友である



幼馴染の連帯保証人になってしまったのが、原因だった。



その幼馴染は、小さいながらも会社を経営しており、彼ら家族とも



本当に家族ぐるみの付き合いをしていたようだ。



そして、単なる形式的なものだから、と言われて、彼の父親は



幼馴染の借金の保証人になった。



その額は、かなりの金額だったという。



勿論、彼の家族の誰ひとりとして、その幼馴染が裏切る等とは



思っていなかったのだろう。



まあ、疑うことを知らない程、本当に良い人たちだったのだろう。



そして、その幼馴染の友人も、裏切るつもりなど毛頭無かったはずだ。



しかし、借金をしても会社の経営がうまくいかず、結局、その幼馴染は



自分の家族とともに、夜逃げしてしまう。



そして、当然のごとく、その借金の返済義務が父親に回って来てしまう。



勿論、彼の父親は真面目な人物だったらしく、必死に金を工面して



借金を返そうとしたらしいが、その借金自体、あまり行儀の良い所から



借りていたわけではなかったようで、あっという間に借金は膨れ上がり、



父親は途方に暮れてしまった。



そして、父親が出した結論は、家族への迷惑が掛るのを避ける為に



離婚して、1人で借金を背負うという事だった。



しかし、父親にほかに住む場所があるわけでもなく、離婚しながらも



同居を続けるという生活を続けていった。



しかし、どんどん過激になる借金の取り立てに、父親は完全に疲弊



してしまい、ある日、彼ら家族の前から姿を消した。



置手紙には、家族に宛てた謝罪の内容で埋め尽くされていたという。



そして、父親は完全に音信不通になった。



彼も姉も、借金の取り立てよりも、父親に会えないという現実が



一番辛かったという。



母親は、パートを辞めて正社員として働き出し、彼と姉はいつも



家の中で二人っきりで過ごす時間が増えていった。



勿論、母親としても、必死になってなんとか二人の子供を育てなくては、と



強い決意の元に働きに出ていたのだから、それを誰も責める事は



出来ないが、それでも、彼ら姉弟にとっては、寂しくて辛い生活



だった。



そして、やはり、かなりの悪徳業者から借金をしてしまったからなのだろう。



結局、連帯保証人になった父親が離婚し、そして行方不明になってからも、



借金の取り立ては執拗に続いた。



警察沙汰にも何度もなったという。



しかし、民事不介入という警察の基本姿勢は、その家族を守るために



全く機能しなかった。



近所でも変な噂を流された。



母親の会社にもやって来た。



深夜、寝ている時に取り立てに来られた。



もう生きている心地がしなかったという。



母親が子供をかばい、子供たちも母親を必死にかばった。



しかし、取り立ては日増しに厳しくなっていく。



彼はその時、これが地獄というものなのか、と実感したという。



そして、そんな生活は正常な思考も奪っていくものなのかもしれない。



ある日、母親が仕事から帰って来ると、本当に久しぶりに外食に



連れて行ってくれたという。



決して高級なレストランではなかったが、それでも、彼は、



また、平和な生活が戻って来たのかもしれない・・・。



そう思って、心から喜んだ。



しかし、外食を終えて家に帰宅すると、家族3人が居間に集められた。



そして、母親から意外な言葉が発せられた。



もう生きてても良い事なんかなにもないから・・・。



一緒に死のうか?



そんな言葉だったという。



彼も姉も、生まれて初めて身近に死を実感してしまい、ぼろぼろと涙が



こぼれたという。



でも、母親の寂しそうな顔を見ていると、母親を一人ぼっで死なせる



訳にはいかない・・・・。



そんな思いが込み上げて来て、彼も姉も、ゆっくりと首を縦に振ったという。



母親は、ガスの元栓を開き、そのまま居間に横たわった。



彼と姉も、それに従う様に、居間に横になった。



これで、苦しまずに死ねるから・・・。



あっちに行くのも皆一緒だから、全然怖くないからね・・・。



母親にそう言われて、彼はゆっくりと目を閉じたという。



そして、彼は夢を見たという。



夢の中には久しぶりに父親が出て来てくれた。



そして、父親は、何度も何度も彼に頭を下げてから、



もう大丈夫だから・・・・。



お母さんとお姉ちゃんの事を頼んだぞ!



そう言って寂しそうに笑ったという。



そして、彼は夢から醒めて目を開けた。



自分達が、したことがなんという馬鹿げたことだったのかと思い、



彼は、すぐに母親と姉の体を大きく揺らしたという。



お願い・・・・生きていて・・・・・。



そう思いながら・・・・。



すると、母親も姉も眠たそうにゆっくりと起きたという。



彼はその姿を見て、号泣してしまった。



そして、起きると、開けておいた筈のガスの元栓がしっかりと



閉じられていた。



そして、彼らはお互いが夢の話をした。



それぞれの夢の中に父親が出てきた事。



そして、もう大丈夫だから、と言われた事を話し合って



全員で泣いたという。



そして、自分達がやろうとしていた自殺という行為を心から悔いた。



そして、彼も姉も、母親を助けるためにバイトをする事を決めて



これからは、絶対にこんなバカな事はしない、とお互いに誓ったという。



そして、もう二度と借金取りなどには屈しない、と。



それから、彼らは本当に意味で新たな生活を始めた。



しかし、その夜以来、借金取りは一度も現れなくなった。



それどころか、彼ら家族の目の前で借用書を破り捨て、そして彼らに



頭まで下げて謝罪していったという。



一体、何か起こったのか、と彼らは不思議がった。



しかし、それから数日後、彼らの元に警察から連絡が入る。



父親の自殺死体が発見されたという連絡だった。



母親が、確認に出向くと、父親は安心したように笑顔まで浮かべた



死に顔をしていたという。



そして、その時、母親が聞いた話によると、どうやら、父親が自殺した



ちょうど、その頃から借金の取り立てを行っていた会社に怪異が頻発



したのだという。



そして、昼夜、関係なく、父親の霊が現れて、恨めしい顔で睨んだという。



そして、もう二度と家族には近づくな・・・。



そう言って、枕元に立ったという。



そこで、さすがの取り立て屋も、恐怖で身が持たなくなり、結局、



父親の霊から逃れるために、借用書を破り、彼らに謝罪までした、



ということらしい。



それから、父親は夢の中にも一度も現れてはくれなくなったが、



それでも、今でもきっと自分達の事を護ってくれているのだと



思う、と彼は嬉しそうに、そして少し寂しそうに語ってくれた。


Posted by 細田塗料株式会社 at 18:40│Comments(0)
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