2019年06月09日

七五三

七五三といえば、誰もが御めでたい神事というイメージを持っているのかもしれない。



数え年で、3歳と5歳と7歳。



つまり、満2歳、4歳、6歳になった時に行われるお宮参りは、その子が無事に



成長しているのを祝う意味合いも強いのかもしれない。



普通ならば・・・・・。



彼女は中学時代の後輩だった。



とても活発な子だったが、家がとても厳しいらしく部活動の途中でいつも



早退していたのを覚えている。



彼女の家は、以前はそれなりの地主だったらしく、旧家としてかなり大きな



屋敷に住んでいた。



そして、以前、聞いた話では幼い頃に突然、姉を亡くしたのだという事だった。



そういう話には、あまり深く詮索しない方が良い、と思い、それ以上の事は



聞かなかったのだが・・・・・。



そして、彼女は地元の学校へ通い地元の大学を出て地元の会社に就職した。



そして、30歳になる前に、仕事関係の男性と結婚し、すぐに子供が



生まれた。



女の子だった。



ここまで書くと、ごく普通の幸せな人生にしか思えないのだが、どうやら



彼女には他人に言えない悩み。



それも、かなり深刻な悩みを持ち続けていた。



彼女の家系では女の子しか生まれなかった。



だから、結婚する時には男性が婿養子としてその家に入る事になる。



そして、忌まわしき呪いの様なものがずっと引き継がれていた。



それは、長女だけが死んでしまうという事。



長女として生まれた者は、その時点で家を継ぐ権利が無くなり、常に次女が



その家督を継いできた。



確かに彼女もその次女というやつだ。



最初、彼女は人づてに俺がそういう事に精通しているという噂を聞き、突然



相談を持ち掛けてきた。



初めて聞いた時は驚いたが、これから書くのが、その呪いというものだ。



遥か昔、彼女の遠い先祖がその土地の大地主をしていた時の事らしいのだが、



その家の長男と、そして旅でその地を訪れた女性が恋仲になった。



しかし、それを本家が許す筈もなく、その女性は、罠にかけられたように



沢山の辱めを受け、罪人として土の中に幽閉された。



墓を作るのさえ勿体ないと言わんばかりに・・・・。



そして、その女性は失意と絶望、そして凄まじい恨みを抱きながらやせ衰えて



死んでいった。



そして、その土地の者達は、その女性が死ぬと、そのまま穴を土で埋めて



終わりにした。



それからなのだそうだ。



彼女の家系では一切男が生まれる事が無くなったのは・・・・。



そして、生まれた女の子も、その長女はことごとく死んでいくのだという。



それも、満2歳になる直前に。



そして、満2歳を無事に迎えられたとしても、満4歳や満6歳を迎えられる者



は、ごく稀なのだという。



最初はなんとか抵抗しようとしていた者もいたらしいが、次第にそれが余計に



死人を増やすだけだと分かり、今では満2歳になる前に亡くなるのが良し、と



されている風潮があるのだという。



実際、彼女の姉というのは、母親がずっと傍で護り続けた甲斐もあってか、満2歳



を無事に迎えたそうだ。



ただし、すぐに家系の誰かほかの人間が突然この世を去ってしまった。



何か恐ろしいものでも見たかのように恐怖で震えた顔のままで・・・・。



確かにそれだけなら、偶然と言えるのかもしれないが、本家の長女が無事に



満2歳を迎えた頃から、その家系では人外のモノを見るという事が



頻発するようになった。



ある物は鬼女の様なモノが家の中を彷徨っていると言い、またある者は、



死神の様な不気味な姿をした老女が家の中を覗き込んでいたと言った。



そして、満4歳になる直前には、得体の知れないものが玄関の戸を叩く姿を



誰もが目撃していたし、また、その音も大勢が聞いていた。



だから、今では、長女の満2歳になる前の死が一族の間で迎合されるように



なっていのだと訴えた。



それでも、彼女の姉の場合、満2歳になる頃には沢山の警備を雇って誰も長女に



近づけなくしたらしいのだが、結局、満4歳になる前には彼女の姉は突然、



3日間苦しんだ挙句、そのまま他界してしまった。



その時も、警備の人間を大勢用意したというのに・・・・・・。



だから、もう、根本的にその呪いを断ち切るしかないのだと彼女は泣いた。



娘が助かるのなら自分の命すら要らない、と。



だから、俺も精一杯の努力をし、色んな分野の人達からアドバイスをもらった。



しかし、結論として彼らが言った事は、



これはあまりにも怨念が強すぎる・・・・・。



だから、深入りしない方が良い・・・・。



そんな言葉だった。



結局、俺は彼女の護符と御守りを渡し、家中に配置するように説明した。



しかし、結局、彼女の長女は満4歳になる前に突然亡くなった。



確かに満2歳の危機は乗り越えられたが、その代りに親戚の若者が一人



亡くなっている。



いったいいつまで彼女の家系はその呪いに苦しめられなければいけないのか。



そして、自分の住んでいる近くの土地の中にはいまだ供養されることなく、



その女の亡骸が恨みを抱いたまま眠っているのかと思うと、背筋が



寒くなった。





Posted by 細田塗料株式会社 at 18:42│Comments(0)
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