2019年06月09日

ホテルの監視カメラ

これは知人男性から聞いた話。



彼は今でこそ田舎のホテルで勤務しているが、以前は東京のかなり大きな



ホテルに勤めていた事があるのだという。



客室数、施設も充実し、そして従業員の数も、とても今働いているホテルとは比較に



ならない程、多かったそうで、それをシフト勤務として24時間体制での



業務に従事していた。



そして、何より凄いのが、ホテルの至る所に監視カメラが設置されており、



それを従業員が交代で監視して犯罪や火災防止に役立てていた。



彼も何度か、その役目を担って監視カメラでの館内巡回を行った事があるそうだが、



何度目かの当番の際、ある事に気付いたという。



それは、監視カメラなど設置する必要が無い、ある場所に合計3台のカメラが



設置されていたという事。



その場所とは、ホテルの屋上。



そのホテルでは自殺防止の為か、屋上への出入りが禁止されていた。



従業員である彼も一度も屋上になど上った事は無かったし、何より屋上へ続く



階段は、目立たない暗い場所に在り、その先には大きく思い鉄の扉と、そこに



掛けられた何重もの鎖があり、どうやったとしても屋上への出入りなど



容易に出来るものではなかった。



ただ、彼も最初に屋上への扉に掛けられた何重にもなった鎖を見た時、



どうして、こんな鎖まで必要なのか?と疑問に思ったそうだが・・・。



そして、もうひとつ不可解な事があった。



それは、その屋上の監視カメラは夜になると作動が停止されるという事。



これでは何の為の監視カメラか分からない、と古株の上司に聞くが、



いつも誤魔化されてしまい、説明してくれる事は無かったという。



屋上にのぼる階段がある最上階というのは、スイートルームが数部屋あるだけで



その他の部分は、業務に使う機材や資材などの倉庫があるだけ・・・・。



そんな場所を監視して、いったいどうするというのか?



そして、最も防犯が必要な夜間には、その監視カメラさえ観られなくなってしまう。



彼はその理由がどうしても理解出来ず、事あるごとに最上階へ行っては、屋上への



階段辺りを調べてみるのだが、屋上へ通じるドアには開けられた形跡など



一切無く、他の階と何ら変わらない空間が其処には広がっているだけだった。



そんなある夜、彼が夜勤として業務に就いていた時の事だ。



監視カメラの部屋に在る警報が鳴った。



しかも、その警報は、件の屋上近辺のドアが開いた事を知らせる警報だった。



彼は、急いで監視カメラでその場所を確認しようとしたが、すぐに上司から



制止されてしまう。



さすがに、上司に逆らう訳にも行かず、彼は部屋から出て行こうとした。



すると、上司が、



おい!ちょっと待ちなさい!



何処に行こうというんだね?



まさか、最上階へ行こうというんじゃないだろうね?



お客様がご宿泊されている部屋の周辺では何も起きていない・・・。



だから、我々は何もする事は無いんだよ・・・・。



そう言われたという。



確かに、同じ最上階にある客室周辺に設置されている監視カメラには何も



異常は映されてはいなかった。



しかし、その時の彼は、何か嫌な予感を感じていたのかもしれない。



それでも、屋上のドアが開けられたという警報が鳴っている以上、お客様の



安全の為にも、確認するのがホテルマンとしての役割ではないのですか?



と、その上司に食って掛かったという。



すると、



いい加減にしろ!



とその上司が怒鳴ったという。



いつもは温厚で怒った事など一度も見た事は無く、彼もそんな上司を心の何処かで



尊敬していた。



だから、彼も呆気に取られた様にその場に停止するしかなかった。



すると、その上司はゆっくりと話しだしたという。



このホテルが建てられた時、屋上は従業員の休憩場所として自由に利用出来たんだ。



でもね、ある日、一人の女性従業員が屋上から飛び降りて死んだ。



社内恋愛の縺れだったそうだよ・・・・・・。



それからというもの、どれだけしっかりと施錠しても屋上へのドアが勝手に



開いてしまう様になった。



そんな時、ちょうど君と同じように正義感の強い新人男性が、そのドアを



見に行ったんだ・・・・・。



同僚が止めるのも聞かずに・・・・・・。



それまでも、そのドアを調べに行った者が、何人も精神がおかしくなって



発見されてた・・・・・・。



だから、皆は必死で彼を止めたんだけどね。



そして、結局、彼はそのまま帰っては来なかった。



翌朝、助けに行った者が見たのは、屋上で恐怖に顔を歪ませたまま死んでいる



彼の姿だった。



そして、そこには何かが這いずった様な跡が残されていたんだ。



それ以来、もう誰もそのドアを見に行くものはいなくなった。



そして、私も大切な部下を、またあんな形で失いたくはないんだ。



それに、その屋上のドアを開ける何かはお客様には決して何もしない。



犠牲になるのは決まって従業員だけさ。



お客様に実害が及ぶのなら、私達も命を懸けて手を打たなくてはいけないが、



今のところは其処に近付かなければ何も起こらない。



だから、わざわざ危険に立ち向かう必要なんて無いんだよ・・・・・。



分かってくれるね?



そう言われて、彼はそれ以後、そのドアの事は忘れるように努めたという。



しかし、ある日、彼はつい興味本位でドアの警報が鳴った時、その場所の



監視カメラを作動させてしまった。



そして、そこで見たものとは、あれだけ厳重に鍵をかけられたドアが



いとも簡単に開き、そしてそこには階段を這う様にして降りてくる



異様に体の長い女らしきモノが映っていたという。



その姿の恐ろしさ、不気味さはとても言葉では説明できない程だったという。



結局、彼はその画面を見てしまった事で耐えられなくなって、そのホテルを



すぐに辞めたそうだ。


Posted by 細田塗料株式会社 at 18:43│Comments(0)
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