2019年06月09日

朗読

仕事関係のお客さんがYoutubeで私の話を朗読している。


別に今流行りのユーチューバーというものになるつもりもないらしが、



何かを世の中に向けて発信してみたいという思いを聞かされ、俺も



その気持ちに賛同し、その立ち上げから全ての面で協力してきた。



機材や編集用のソフトなど使っておらず、素人然とした動画に



なっているが、あくまで仕事の合間にやっている作業であり、



俺的にはそれで十分だと思っている。



最初は、



おいおい!大丈夫ですか?



と不安だった素人過ぎる朗読も、最近はかなり慣れてきた様であり、



聞いていても不快ではなくなった(笑)



朗読を担当しているのは、社長夫人である普通の主婦。



最初は、朗読の大変さに何度も挫折しかけたらしいが、現在では、



朗読している時間が楽しいと言ってくれているのが俺には嬉しい。



そして、先日、こんな事を頼まれた。



それは、Kさんの書いた話を朗読するチャンネルなんだから、



せめて1話だけでも、Kさん自身で朗読してみてよ!



そんな内容だった。



最初は、



とても朗読なんて出来るわけが無い・・・。



出来るくらいなら自分でチャンネルを持ってるでしょ?



と思っていたのだが、最近は、



まあ、1話くらいなら朗読してみても良いかも・・・・。



と思い始めている。



自分でも本当に不思議だ。



とりあえずは、自宅で朗読を試してみた。



録音には音楽用の物を利用し、編集無しの一発録り。



それにしても、活舌が悪すぎる。



まあ、その点はどうしようもないとして、問題は録音環境。



とにかく邪魔が入りすぎる。



妻は、部屋の外で洗濯物を干したり、掃除機をかけたり、そして娘は



いつものように、平気で部屋に突入してきては、何かとちょっかいを



出してくる。



やはり、家の中での録音は無理だ。



そう判断した俺は、車の中で朗読する事を思いついた。



ただ、家の前には大きな国道が通っており、雑音が多すぎる。



そこで、俺は車で20分ほど走った山の中の広場で朗読する事にした。



日当たりも良く、近くに民家もある。



車が近くを通る事も滅多になく、とても望ましい環境だった。



さすがに暑いので車のエンジンとエアコンをかけたまま、事前に用意した



音源を車のスピーカーから流し、その音源に合わせて朗読を開始。



少しだけ朗読したところで、一度ストップして、音源と声の大きさのバランスを



確認する。



音楽用の録音機材と、単一指向性のマイクを使ったのは正解だった。



バランスも良く、声と音源以外の音は、入ってはいない。



俺は、それを確認すると、果然やる気が出てきて、それから何度も



言葉が詰まったりと失敗を繰り返しながらも、3時間ほど掛けて



短い話を1話だけ朗読する事が出来た。



そして、自宅に帰った俺は、その朗読を確認した。



やはり、録音された自分の声というものを聞くのは嫌なものだ。



恥ずかしくて穴があったら入りたくなってしまう。



それでも、YOUTUBEにアップするとなれば、きちんと最後まで



確認してからでないと、さすがに気が引けてしまう。



俺は、1人部屋の中で恥ずかしさと闘いながら、自分が読んだ



朗読を聴き続けた。



そして、ちょうど半分ほど読み進んだ時に、ある音が混入してきた。



それは子供の声だった。



しかも、一人ではない。



何人もの子供がくすくすと笑うような声がしっかりと録音されている。



録音した場所は、とても子供達が遊びに来られる様な場所ではなかった。



しかも、それだけたくさんの子供が近くにいたのなら、俺もきっと気付く



と思うのだが・・・。



まあ、しかし、その子供の声は朗読用の効果音として使えない事も無く、



俺はそのまま朗読を聴き続けた。



すると、今度は、まるで俺の車の近くを、どこかの軍隊でも行進しているかの



様な、ザッザッザッという足音だった。



しかも、その足音は近付いたかと思えばまた離れていき、そしてまた近づいてくる。



まるで、俺の車の周りを回っているかのように・・・。



すると、今度は、何かが窓に当たる様な音が聞こえてくる。



バン!・・・・バン!・・・・バン!



その音はとても大きく俺の声が良く聞こえない。



いったい何なんだ?



俺はそう思いながら、その朗読した話をそのままお蔵入りさせることにした。



ただ、その時、聞こえた音は、現場にいる俺には全く聞こえてこなかった



音ばかりであり、俺はその不可思議さに、少しだけ気味悪くなった。



だから、もう、その場所では朗読をしないことを決めた。



だが、この話はこれで終わりではなかった。



実は、仕事先で俺は、その話をしてみた。



勿論、そういう話題が大好物なお客さんに。



すると、その会社の従業員さんは、その時ちょうど定点観測というものに



凝っているらしく、是非その場所に行って撮影してみたいから詳しい場所



を教えてくれと言われた。



勿論、断る理由も無いので俺は、その彼に、俺が朗読に利用した



場所を詳しく教えた。



そして、彼は、その週の週末に、その場所に行ったようだ。



さすがに夜は怖すぎるという事で、俺がその場所にいた時と同じくらいの



午後2時頃にした。



現地に到着すると、早速、カメラを、その広場一面が見渡せる場所に



設置した。



そして、彼のいつものパターンで、カメラが万が一にも盗まれる事の



無い様に、その広場から500メートル位離れた、広場の入り口が



見える場所に車を停めて、ひたすら時間が経過するのを待った。



勿論、車のエンジンはかけたままで、エアコンもしっかりと作動させて。



いつも、定点観測の際には、車の中で読書をして凄ず彼だが何故かその時は



強い眠気に襲われてしまい、知らぬ間に寝てしまっていたという。



そして、突然、酷い揺れで目が覚めた。



強い地震が発生したのでは・・・・。



最初はそう思ったという。



しかし、車の揺れ方がおかしかった。



まるで、車が横から持ち上げられては手を離されている様な奇妙な揺れ方。



彼はその時、どこかの若者グループがふざけて、そんな事をしているのでは?



と思ったらしい。



だから、彼は身を起して、それを確認しようとしたが、すぐに止めた。



そこには、窓に張り付くようにして車内を覗き込む子供たちの顔があった。



その顔は、確かに子供の顔だが、一つだけおかしい部分があった。



それは、異様に顔が大きいという事。



まるで、一つの顔が、ドアガラス1枚を埋めてしまう様な大きな顔。



それが、いくつも並んで窓に張り付き、車内を覗いていた。



彼は、そのまま寝たフリを続けるしかなかった。



恐怖で体が固まり、歯が噛み合わない程ガチガチと震えていた。



それでも、必死で彼は眼を閉じ続けた。



外からは子供たちだと思われる声や笑い声が聞こえていたという。



それでも、そのまま必死に耐えていると、車の揺れも、外から聞こえる



子供の声もピタッと収まった。



彼はそっと体を起こすと、その場にカメラを残したままで、一気に



その山から駆け降りた。



そして、翌日になってから友人たちに頼んで一緒にそのカメラを回収



する為に、その場所に戻ったという。



だが、その時には何も怪異は起こらず、そして、まだ定点観測用のカメラは



その場所を映し続けていた。



彼は、そこで撮影したものを観るつもりはなかったという。



しかし、その時一緒に行ってもらった友人たちに、本当にそんな事が



起こったのならカメラに何かが映り込んでいるかもしれない・・・・。



だから、その映像を見せて欲しい、とせがまれて、仕方なくその映像を



友人たちと一緒に再生し、大型ディスプレイで確認した。



結果からいうと、気分が悪くなる者が続出し、最後まで観る事は



出来なかったという。



そして、それを見た彼と友人達は、それから悪夢に悩まされる日々が



続いた。



どうにか、鑑定して欲しいと言われた俺は、それを検収するべく、その



映像データを預かった。



そして、当然、一人では見る事など出来ないので、Aさんに協力を依頼した。



結論からいうと、俺もAさんも一応、最後まで映像は確認できた。



ただ、Aさんいわく、



これは、絶対に見てはいけないものですよ・・・。



霊観が有るとか無いとか、関係なしに・・・・。



これって、本当の呪われた映像です。



Kさんは勿論、私でも危ないかも・・・。



一刻も早く処分しないと・・・・。



そう言われた俺は、



それじゃ、映像を消去しなきゃいけないんだ?



と聞くと、Aさんは真面目な顔で



いえ、それくらいの事ではこの呪いは解けませんね。



私が預かっても良いですか?



責任を持って処置しますから・・・・。



そう言ったが、どれだけ聞いても、どんな処置をするのかは、絶対に



教えてくれなかった。



ただ、その後、彼らは悪夢を見る事も周りで怪異が発生する事も



無くなったのだから、きっとAさんが的確な処置を施したのだろうと思う。



結局、俺には何も起こらなかった。



だから、俺はAさんに聞いてみた。



あのさ・・・俺に何も起こらなかったのは、やっぱり強い守護霊が



憑いているってことなのかな?と。



すると、Aさんは、冷たい目で



あの・・・ですね。



あの映像をKさんと二人で確認していた時に、同じ部屋にいた沢山の



子供の姿が見えてなかったんですよね?



本当にお気楽な人です。



羨ましいですね。



それくらい、ぼーっとしてれば人生もさぞ楽しいでしょうね?



そう冷たく言われてしまった。



本来ならば、その映像に映っていたものが、どんなものだったのか、



ここで書きたいところではあるが、呪いの拡散を止める意味でも、



その映像の中身については、このまま墓場まで持っていく事に決めた。


Posted by 細田塗料株式会社 at 18:44│Comments(0)
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