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2019年06月09日

もうスマホは使えない

これは知り合いの女性が体験した話。



彼女は、いわゆるキャリアウーマンという人種である。



イベントプランナーとしての働きぶりは男性顔負けであり、



提案も的確で、仕事も速い。



そんな彼女が手放せないのが、スマートフォンとタブレット



なのだという。



会社で企画を立て、それをお客さんに分かり易いように具体的に



視覚化する。



そして、最終的な詰めは、客先へと移動途中に、タブレットを使い



スマートフォンで情報を集めて、より良く完成させる。



そうした方がより現在の顧客に合ったプランを提供出来るのだという。



そのためには、スマートフォンもタブレットもどうしても必要



であり、欠かす事の出来ないツールになっているそうだ。



そして、これから書くのはそんな彼女が体験した奇異な出来事である。



その日、彼女は、客先に向かうために電車に乗った。



あえて、特急には乗らず、普通列車で時間を掛けて移動する。



そうしていると、色々なアイデアが浮かんでくるのだという。



その時も電車に乗った彼女は、誰も座っていない座席を見つけて



そそくさと座った。



さすがに、隣に誰かが座っていると、仕事にも集中出来ない。



彼女はカバンからスマホとタブレットを取り出すと急いでその日、



プレゼンする予定の企画書に目を通した。



その日の天気が雨模様だったので、プレゼン用の背景の色を少しだけ暗くした。



そうした方が何故か顧客から受け入れられ易いそうだ。



そして、いつも通り、彼女は駅までの所要時間から少し前の時刻にスマホの



アラームをセットした。



いつも、つい仕事に熱中し過ぎる彼女は駅を乗り過ごす事の無い様に、そうして



いる。



そして、再び、タブレットの画面に視線を移す。



それから、どれくらいの時間が経過した頃だろうか・・・。



突然、彼女は電車が何かを乗り越えたような嫌な感覚に襲われた。



それは、紛れもなく、彼女自身が何度か体験した事のある、電車への飛び込み



自殺で電車が自殺者の上を乗り越えた時の様な感覚だった。



現実には、電車の様な重くて速い物体が、人間の体の上を通過したとしても、



座席のシートには体感出来る程の衝撃など伝わらないそうなのだが、そうした



体験をした人の何割かは、確かに電車が自殺者の体の上を通り過ぎている、と



感じるポイントがあるそうだから、あながち気のせいだけで片付けられる



ものではないのかもしれない。



うわぁ…電車が止まったら、どうしよう・・・・。



遅刻しちゃうよ・・・・。



そう思って思わず顔をあげた彼女だったが電車はブレーキをかける気配もなく



周りの乗客にも何ら変わった様子は無かった。



気のせい・・・・なの?



そんなはずはないんだけどなぁ・・・・。



そんな事を思っていると、ちょうど彼女と目が合うものがあった。



それは、隣の車両との接合部分に立ちながら彼女の方を見つめている女だった。



しかし、どう見てもおかしかった。



ワンピースは破れ、そして血まみれになっており、首があり得ない角度で



90度以上の角度で曲がっていた。



ただ、その女が不思議そうに彼女をただぼんやりと見ていた事、そして、



彼女よりも近くにいる乗客の一人としてその姿に驚いたり悲鳴を上げる



者がいなかった事で彼女は全く恐怖を感じなかったという。



大勢の人が周りにいる。



それが彼女に恐怖というものを感じさせない安心感を与えて



いたのかもしれない。



もしかして、何かの企画か、ホラー映画の撮影かな?



彼女はそう思って、再びタブレットの画面に目をやった。



しかし、やはりどうしても気になってしまうのか、すぐにその女の方へと視線を



戻した。



近づいていた。



明らかに、先ほどの距離が1/3ほど短くなっている。



え?どうして?



彼女は驚いた。



その女が近づいてきた音も聞こえなかったし、何よりそんなに長い時間、



タブレットを見ていたわけではなかった。



先ほどより近づいていたその女は、体の至る所から骨が露出し、右足の



足首から下が欠如していた。



あの足で動いたっていうの?



それしても、最近の特殊メイクって、凄いんだなぁ・・・。



そんな感じにしか思わなかった。



ただ、やはり、欠損した右足で、そんな短時間にその女が近づいてきたという事には



何か気持ち悪さは感じていたのだろう。



彼女は、試しにもう一度タブレットに目を戻して、瞬時に再び、



その女に視線を戻してみる事にした。



タブレットに目をやり、そして、すぐに視線を戻した。



時間にして、ほんの0.5秒ほどだった。



しかし、その女との距離は更に1/3まで短くなっていた。



その時、彼女は初めてその女が、映画の撮影をしている訳ではないのだと



確信する。



この女、私にしか見えていないの?



一瞬の間に数メートル・・・。



しかも、これだけ混み合った電車の車内で移動なんか出来るわけがない・・・。



それに、いくら特殊メイクでも、あんな姿で生きていられる筈がない・・。



彼女は恐怖で固まっていた。



それと同時に大きな悲鳴を上げようとしたが、声が全く出なかった。



彼女は完全にパニックになっていた。



その女は相変わらず、ぼんやりと彼女を見つめていたが、何故かその眼には



殺意というものが感じられた。



そして、近くで見ると、その女の体からはポタポタと真っ赤な血が滴り落ちて



いるのが分かった。



もう一度、タブレットを見たらどうなるの?



彼女は恐怖で頭が全く回らなかった。



ただ、絶対にタブレットに目をやってはいけない、という事だけは分かった、



という。



その時、突然彼女のタブレットにメールが着信し、それを告げるアナウンスが



流れた。



周りにいた乗客は、いっせいに彼女へ視線を向ける。



そして、きっといつもの癖になっていたのだろう・・・・。



彼女は思わず、一瞬、タブレットにめをやってしまった。



あっ!



しかし、もう遅かった。



ゆっくりと顔をあげると、そこには彼女の顔を覗き込むようにして、その女の



顔があった。



悲鳴を上げようとして声にならなかったのまでは覚えているという。



そして、それから数分後、彼女はいきなり誰かにぶつかられた痛みで目が覚めた。



彼女は押し倒されるように駅のホームで倒れていた。



そして、凄まじいブレーキ音と共に、彼女の頭をかすめるように電車の車体が



通り過ぎていったという。



大丈夫ですか?



あんた、何考えてるんだ?



色んな声が彼女の耳に飛び込んできた。



そこで、初めて彼女は自分が電車に飛び込もうとしていたのだと分かったという。



自分はもう少しで確実に死んでいた・・・・。



そう思うと体中の力が抜けていった。



そして、彼女はそれから駅の執務室に連れて行かれて色々と事情を聞かれた。



顧客とのアポイントの時刻はとうに過ぎていたが、そんな事は全く



気にならなかったという。



そして、彼女が体験した事を必死で説明したらしいが、駅員は誰も



信じてはくれなかった。



ただ、一人だけ、年配の駅員さんだけが帰り際に、



電車とか駅って、ある意味、そういう事が起こり得る場所だから・・・。



これからは、自分の命はご自分で守らなきゃね・・・。



そう言ってくれたという。



ちなみに、それから、彼女はスマホも、そしてタブレットも全く使わなくなった。



使うのが怖いのだという。



もしも、またタブレットやスマホを使っていて、視線をあげたら、あの女が



すぐ傍に立っている気がして・・・・・。



そう言っていた。


Posted by 細田塗料株式会社 at 18:49│Comments(0)
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