2019年06月09日

これから始まる呪い

これは友人の親戚に起こった話である。



彼女とは趣味の音楽関係で色々と世話になっていた。



元々は彼女の家系はその土地の大地主だったらしく、彼女の家族も



本家筋ではなかったが、自宅の周りにたくさんの土地を持っていた。



そして、その一角にある倉庫は、俺達が無料で利用できるバンドの練習場所



として提供してくれていたのだ。



本当に土地を沢山持ち、お金にも恵まれている彼女の事をいつも羨ましく



思っているのだが実際には色々と大変な事も多いそうだ。



彼女は若い頃に結婚した。



夫は婿養子として彼女の実家で彼女の両親と同居する事になったそうだ。



彼女は1人娘であり、いずれは実家を継がなければいけなかったのだから、



当然の事なのだろう。



彼女の夫になったのは、俗に言うイケメンというやつであり、出会いは



彼女の方から声を掛けたのだという。



夫は地元の団体職員をしており、その団体へも彼女の両親の力はかなりの



影響力を持っていたから、付き合い始めてから、とんとん拍子に結婚へと



漕ぎ着けたようだった。



まあ、確かに彼女と結婚すれば、彼の将来は約束されたも同然なのだから、



彼としても逆玉の輿の気分だったのだろう。



勿論、彼女自身もかなり綺麗な顔立ちではあったから、まあ似合いの二人と



いったところか。



結婚してからも彼女の人生は順調そのものだった。



すぐに彼女には子供が出来て、両親も喜んでくれた。



最初の子は女の子だったが、数年後には、二人の男の子も生まれた。



夫は会社ではそれなりの地位に就いていたし、それにも増して彼女には



自己所有のマンションやアパート、そして駐車場がそこそこあり、そこからの



収入だけでも毎月驚くほどの収入が入って来ていた。



そんな人も羨むような生活がずっと続くと思っていた。



しかし、上の子供が小学4年になろうかという頃、亀裂が入り始める。



夫が家に帰って来なくなった・・・。



それだけではなかった。



彼女の周りで不幸が起こり始める。



父親が持病で急死し、母親は事故で病院に入院する事になってしまう。



更に、彼女が所有している不動産の幾つかが、知らない間に名義変更



さてれいた。



夫の仕業だった。



そして、追い打ちをかけるように彼女自身も事故で病人に担ぎ込まれた。



車を運転していた彼女に向って、対向車線から大型トラックが車線を



超えて突っ込んできた。



トラックの運転手は突然、ハンドルが効かなくなったと証言した。



彼女自身は、頑丈な高級外車に乗っていた事もあり、すぐに病院を



退院する事が出来た。



何故、こんな不幸が続くのか・・・・。



彼女は神社に頼んでお祓いをしてもらうとともに、夫が家に帰って来なくなった



理由を探る為に、探偵事務所に調査を依頼した。



しかし、そんな事では不幸の連鎖はいっこうに収まらなかった。



そして、ついに、最悪の事が起こってしまう。



彼女の子供が3人で歩道を歩いて学校に向かっている時、突然、ガードレール



を超えて大型のダンプカーが突っ込んできた。



3人の子供は即死だったという。



子どもの葬儀の時には、さすがに夫も帰ってきたらしいが、無事に葬儀が



終わると、また、家に帰って来なくなった。



そんな時、彼女が俺に相談してきた。



こんなに不幸が続くなんて何かの呪いとしか思えないの・・・・。



そう言って、何とか助けて欲しいと頼まれた。



彼女への恩義もあった俺は、すぐにAさんに相談した。



相変らず、面倒くさそうにしていたAさんも、呪いという言葉を聞いてその時は



すぐに対応してくれた。



彼女の家に着くと、Aさんは仏壇にお参りしてから、彼女に夫の持ち物を



何か持って来て欲しいと頼んだ。



そして、彼女が持ってきた、以前夫が愛用していたスーツを見ると、今度は



彼女が愛用しているものを持って来て欲しいと言った。



そして、彼女が愛用しているブランド品のバッグを差し出すと、そのバッグ



に向かって指で文字を書きながら何やらブツブツとつぶやいている。



そして、それが終わると、



確かに呪いですね・・・。



それも、この呪いは間違いなく貴女1人を狙っている呪い・・・。



子供さんが亡くなったのも、貴女の巻き添えになっただけ・・・。



だから、今、その呪いを相手に返してみました。



呪いをかけた相手は、間違いなく恐ろしい思いをする筈です。



貴女に謝って許しを請いたくなるほどの・・・。



貴女にこれ以上、実害が及ぶことが無いようにしておきましたから、後は



相手の出方を待つだけですね・・・。



そう言って、さっさと帰ってしまった。



そして、それから数日後、彼女から電話がかかってきた。



呪いをかけた犯人が判ったから、Aさんと一緒に立ち会って欲しい、という



電話だった。



それにしても、呪いをかけた相手が判ったというのに、以前にも増して



暗い声だったのがとても気になった。



そして、俺とAさんは、指定された日時に彼女の家に向かった。



すると、もうその相手は彼女の家に来ており、今は客間で待たせている、



との事だった。



そして、3人で客間に行き、襖を開けると俺は唖然としてしまった。



そこには見知らぬ女性と、そして彼女の夫が座っていた。



訳が分からない俺に対して、Aさんは、



ああ・・・やっぱりね・・・。



と予想通りの展開のようだった。



そして、話を聞いて俺は更に驚いてしまった。



彼女の夫が家に帰らなくなったのは、好きな女性が別に出来たからだった。



それが、夫と一緒に客間に座っている女性。



それなのに、彼女はその女性に足して馬頭するどころか、敬語まで



使って話していた。



そして、最後まで話を聞いた俺はようやく話の内容を理解した。



どうやら、彼女の従姉妹に当たる、その女性が彼女の夫の事を好きになった。



そして、夫自身も、彼女との生活に嫌気がさしていた。



そうして、二人は相思相愛の関係になった。



その女性は、どうしても彼女の夫と結婚したかったらしく、彼女さえ



居なくなれば全てが上手くいく、と思い、彼女に呪いをかけた。



そして、その呪いは凄まじい効力を発揮して彼女を不幸の渦の中に巻き込んだ。



しかし、彼女ではなく、子供たちが死んでしまった事、そしてAさんによる



呪い返しで、先ずからも恐ろしい体験をする様になった事から、もう



逃げられないと思い、彼女に謝罪をしに来たのだという。



あれは、つい出来心だった、と。



魔が差したのだ、と。



だから、もう許してほしいと懇願した。



普通なら、彼女から全てを奪ったその女を許せる筈などない。



しかし、相手が悪かった。



相手の女性は、本家の1人娘であり、幼い頃から従姉妹同士とはいえ、彼女とは



全く身分が違うのだと言い聞かされてきた相手。



その女性を敵に回す事は、親戚から排除される事に直結していた。



だから、なのか、彼女は終始、穏やかな顔で対応し、挙句の果てには



自分の夫を彼女に差し出すとさえ言った。



その女性は喜んで、夫が勝手に名義変更した不動産を返すとともに、更に



多くの不動産を彼女に迷惑料として進呈すると告げた。



俺には、お金持ちの力関係というものは分からなかった。



何故、自分から全てを奪った相手に、それほど穏やかに対応出来るのか、が



全く理解出来なかった。



しかし、それは俺が口を挟むべき事ではなかった。



だから、俺は何も考えないようにその場を後にした。



帰り道の車の中で、俺はAさんに聞いてみた。



あのさ・・・Aさんの家もお金持ちじゃん?



だったら、ああいう結論って理解出来たりするの?と。



すると、Aさんは、



もしかして、Kさんは何か勘違いしてませんか?



あれはまだ全然終わってませんよ!



Kさんの友達の顔をちゃんと見てましたか?



あれは全てを許したっていう顔じゃありませんから・・・。



自分から全てを奪っていった相手をそんな簡単に許せるもんじゃないでしょ?



まあ、確かに相手の女性も絶対に幸せにはなれませんけどね。



一度でも他人を呪った者は一生、その業を背負っていかなければいけませんから。



だから、今回の件は決して解決したわけではありませんよ。



終わったんじゃなくて、これから始まるんです。



新しい呪いが、Kさんの友達によって・・・・。



今は、何起こっていませんから手の施しようもありませんけど・・・。



でも、近い将来、彼女が呪いに狂い、そして呪いに飲み込まれたら、その時は



Kさんは辛い選択をしなくてはいけませんよ・・・。



呪いの念とともに、彼女自身を消滅させるのかどうか・・・。



今は被害者である彼女が、いずれは加害者になるかもしれません。



その時には心を鬼にしてでも、彼女を止めるのか、それても見逃すのか・・・。



私はKさんの意思に従いますから・・・・。



まあ、その時までにしっかり覚悟だけはしておかなきゃいけませんね!



そう言われ、俺は背筋に冷たいものを感じてしまった。





Posted by 細田塗料株式会社 at 18:50│Comments(0)
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