2019年06月09日

ボイスレコーダー

彼は取引先の営業マン。



ある案件で何度か打ち合わせをしているうちに、仲良くなり今では



数か月に一度は一緒に飲みに行く仲になった。



そんな彼がいつも持ち歩いているのはボイスレコーダー。



今ではスマホにも付いている機能だが、彼はスマホではなく単体の



ボイスレコーダーを使っている。



やはり、音の明瞭さやノイズキャンセル機能など、便利な部分が多いから



だという。



そして、お客さんとの打ち合わせなどは、そのボイスレコーダーを利用して



しっかり録音し、後でそれをノートにまとめる。



打ち合わせ中にメモを取っていると非効率的だし、何より聞き洩らしや聞き間違い



なども解消でき、何かと便利なのだという。



そんな彼がある時以来、一切ボイスレコーダーを使わなくなった。



理由を聞いてみると、どうやら会議中に録音した音源に不可解な音が



混ざり込んでいたのだという。



その声は会議には一人も参加していない筈の女性の声であり、20~30代くらいの



かすれた声の女性に聞こえたという。



その時には、きっと誰かの声が偶然録音されてしまったのだろう・・・。



そんな程度に思っていた。



しかし、それからというもの、ボイスレコーダーを使用すると、必ず



その女の声が打ち合わせの音声と一緒に録音されるようになった。



さすがに気持ち悪くなった彼は、そのボイスレコーダーをオークションで



売ってしまい、彼自身は新しいボイスレコーダーを買ってそれを



使う様にしたのだという。



しかし、新しいボイスレコーダーにも、すぐにその女の声が録音されるように



なってしまう。



ある時には、彼が現場で打ち合わせをしていると、頭上から大きな鉄の塊が



落ちてきて、彼は危うく死にかけたらしい。



勿論、その時にはボイスレコーダーなど使用している筈もなかったが、少し



気になった彼は、何気なく、ボイスレコーダーを再生してみた。



すると、そこには、悔しそうな声の女が、



死ねばよかったのに・・・・・。



そうはっきりと喋っている言葉が録音されていた。



上司に相談すると、その上司も何故かすぐに対応を考えてくれ、次の社内での



打ち合わせの際に、部屋の中をビデオカメラで撮影する事に決まった。



かくして、その打ち合わせが終わってから、その部署の人間全体でその映像を



確認する事になった。



そして、その場に居た全員が凍りついた。



その映像には、彼の横に立ち彼の顔を覗き込むようにしている女の姿が



はっきりと映し出されていた。



勿論、打ち合わせの最中には、そんな女など何処にもいなかった。



部署の皆は、その映像を見て、



今すぐに除霊をして貰った方が良い・・・・。



と口々に言ったらしいが、その映像を見た彼は、何故か納得した顔でその言葉を



聞き流した。



そして、翌日の休みの日に、以前付き合っていた女性へ連絡して、久しぶりに



会って、色々と話をした。



その大半は彼の謝罪だったらしいが・・・・・。



それから、彼のボイスレコーダーには不可解な女の声が混入するという事は



一切無くなったそうである。


Posted by 細田塗料株式会社 at 18:51│Comments(0)
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