2019年06月09日

誤作動

これは知人から聞いた話。



知人は趣味が車のドライブである。



しかも、気が向いたときにふらっとかなり遠方までドライブに



出掛けてしまう。



だから、彼の車には、カーナビが必需品になっている。



そんなある日、彼の車のカーナビが突然、壊れてしまった。



彼は仕方なく、カーショップに行き、カーナビを選びに行ったのだが、



彼の希望に沿った物は、どれも高価で手が出なかった。



そこで、彼は、近所の中古パーツの店を見に行くと、最新型のカーナビが



かなり手ごろな値段で店頭に並んでいた。



テレビ画面としても利用でき、DVDの再生にも対応している。



まさに、彼の理想どおりのカーナビだった。



彼は、即決し、その場ですぐに彼の車へと取り付けてもらった。



そして、その店からの帰り道、さっそくカーナビをテストしてみると、



最近、開通したトンネルも、しっかりと表示されており、彼は大満足の中



自宅まで車を走らせた。



それからは、そのカーナビは、ドライブの度に大活躍してくれた。



彼は、本当に良い買い物をした、とそれからは以前にも増して、遠くへ



ドライブに行く機会が増えてしまった。



そんなある日、その日は平日であり仕事が終わり家路に着いていたとき



不思議な事が起こった。



カーナビは明らかに自宅とは別の場所へと誘導してくるのである。



最初は、誤作動かな、と思い、そのまま運転を続けていればきっと



直るだろうと思っていたらしいが、どれだけ車を自宅へと走らせても、



ルートから外れました・・・・ルート検索しています・・・・。



そうしたアナウンスの後、明らかに違う場所へと導こうとする。



やはり、安物買いは駄目なのかな・・・。



そう思って、翌日、車を走らせていると、どこにも異常が無くなっており



正常に動作している。



そこで、彼は、そのカーナビを買い換えようという気持ちが無くなり、



そのまま使い続ける事にした。



しかし、それから、何事も無い日が続いたか、と思うと、また、突然



誤作動してしまう。



そして、翌日にはまた正常に戻っている。



そんな事を繰り返しているうちに、彼はあることに気付いた。



それは、そのカーナビが誤作動するのは、決まって毎月17日だという事。



しかし、それに気付いたからといって、何か対処出来るわけでは無い。



彼は仕方なく、そのカーナビを使い続ける。



しかし、ちょうど17日が彼の仕事の休日と重なった月に、彼は思い切った



行動に出る。



そのカーナビに従って走ってみようと思ったのだ。



彼は朝早くから出掛ける用意をして、目的地の分からないドライブに



出掛ける事にした。



どうして、毎月17日に誤作動するのか、は分からなかったが、元々



宛ての無いドライブが好きな彼にとっては、休日の暇つぶしに



ちょうど良かった。



車をスタートさせしばらくすると、案の定、カーナビは勝手に道案内



を始めた。



彼はワクワクしながら車を運転していた。



街中を抜けて、車はどんどん東に向けて走らされた。



勿論、目的地を設定した記憶は無かったし、前の持ち主が設定した



目的地も何一つ残されていない事は確認済みだった。



カーナビは、そのまま東へ向かうように道案内を続ける。



車は海沿いの道に出た。



最新式のカーナビは新しい道も全て登録済みのはずだったが、何故か



その時は、古い道ばかりを選んで指示してくる。



そうして車を走らせていると、車は海沿いの丘を上って行く。



その道は彼も以前一度だけ訪れた事があった道であり、そのまま走り続けると



見晴らしの良い岬で行き止まりになるのは、分かっていた。



彼は思った。



どうして、こんな所に俺を連れてこようとしてたんだろう?と。



そして、



まあ、理由は分からないが、あの場所に誘導してくれるなんて、なかなか



趣味が良いじゃないか・・・・。



そんな事を考えながら、カーナビの指示に従って彼は車を走らせ続ける。



そして、彼が予想していた通り、車は岬の駐車場へと近づいてきた。



そろそろかな・・・・。



彼はそう思った。



確かに、目的地が、その岬だとしたら、そろそろ、



間もなく目的地です・・・。



そうアナウンスされるはずだった。



しかし、そのアナウンスは、いっこうに聞こえてこなかった。



それどころか、カーナビは岬の駐車場を避けて、そのまま岬の



先端へと続く砂利道へと誘導を続けた。



彼の頭の中は混乱していた。



何処に連れて行くつもりなんだ?



それでも、彼はそのままカーナビの指示に従って車を走らせ続ける



事にした。



このカーナビが本当に自分を何処へ連れて行こうとしているのか、



見極めたかったのだという。



しかし、初めて走るその砂利道の先が見通せなかったので、彼はかなり



速度を落として車を走らせた。



そして、砂利道も終わりに近づこうとしたとき、カーナビがこう告げた。



"このまま前方まっすぐです・・・・・・・"



しかし、前方には岬の先端しか存在していなかった。



勿論、そのまま車を走らせれば、岬の先端から海へと落ちてしまう。



彼は背中に冷たい汗を感じながら、ブレーキを踏んだ。



そして、彼は固まってしまう。



ブレーキが利かなかった。



車は彼の意思とは反対に、どんどんと岬の崖へと近づいていく。



だから、彼は思った。



速度を落としておいて良かった・・・。



万が一の時は、直前で車から飛び降りようと・・・・。



しかし、どうやら、それも叶わないことだった。



運転席のドアを開けようとしたとき、彼は車のドアが全く開こうとしない



事に気付く。



ドアがロックされていないか、と確認したが、そうではなかった。



何か得体の知れない力で、この車は、いや、このカーナビは俺を



殺そうとしている・・・・。



そう感じたとき、彼は咄嗟に、サイドブレーキを思いっきり引いた。



すると、車は斜めに滑るようにして、斜めになりながら崖の手前で



何とか止まった。



彼は、急いでエンジンを切り、ドアノブを引くと、先ほどとは違い、



いとも簡単に車のドアは開いた。



そして、崖から下を見下ろした時、彼は、こう感じた。



あのまま、海に落ちていたら間違いなく死んでいた、と。



それから、彼は、そのカーナビをさっさと売ってしまおうと決心して



帰路に着いた。



相変わらず、カーナビからは、岬の先端へと戻るように指示が



出され続けていた。



あまりに、しつこいので、彼がカーナビの電源を切ろうとした時、彼は



間違いなく、その声を聞いた。



死んでよ・・・・・という男の声を。



それから、彼は無事に自宅まで戻ると、急いで車からカーナビを外した。



そして、売ろうと思っていたカーナビではあるが、思い切って



叩き壊したという。



そして、その後、彼はその岬で自殺した者や、事故で崖から落ちた者が



いないか、と調べたそうだが、そんな記事は何処にも載っていなかった。



だとしたら、どうしてあのカーナビは自分を殺そうとしたのか?



そう考えてしまうと、更に恐ろしくなってしまい、彼はその後、



車にはカーナビは付けないようにしているという。



ちなみに、カーナビを外してからは彼の身に怪異は発生していないそうだ。







Posted by 細田塗料株式会社 at 18:53│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

count