2019年06月09日

お化け屋敷

これは知人女性が体験した話。



彼女は男兄弟の中で育ったせいか、とても男勝りな性格。



この世の中に怖い物など無いのではないか、と思えてしまうほどだ。



しかし、予想に反して、絶対に近寄らない場所がるあのだという。



それは、お化け屋敷。



特に有名なお化け屋敷というのではなく、基本的にどんな遊園地にも在る



様なお化け屋敷でも絶対に入れないのだという。



勿論、元々、彼女はそこまでお化け屋敷を怖がっていた訳ではない。



実はある出来事があってから、全く近寄れなくなったのだという。



そして、これから書くのがその理由というものになる。



その時、彼女は地元に在る遊園地へと友人達と出掛けた。



元々、それ程大きな遊園地ではなく、2~3時間も遊ぶと、時間を持て余して



しまった。



ベンチに座り、ぼんやりしていると、友人の1人が、



あっ、あそこにお化け屋敷があるみたい・・・・入ってみようよ!



そう声をかけたという。



元々、お化け屋敷というものが苦手だった彼女は露骨に嫌な顔をしたらしいが、



その場での多数決によって、すぐにお化け屋敷へ入る事が決まってしまった。



しかし、やはり気が進まない彼女は、お化け屋敷の入り口で立ち尽くしていた。



しかし、友人達はそんな彼女には目もくれず、1人、また一人とお化け屋敷の中へと



入っていった。



一人ぼっちにされてはたまらない・・・・・。



そう思った彼女は急いでお化け屋敷へと駆け込んだという。



彼女が思っていたよりもお化け屋敷の中は暗く感じなかった。



しかし、先に入った友人達の姿はもう其処には見えなかった。



彼女は慌てて、先に行った友人達に追いつこうとその場から駈け出した。



しかし、すぐに機械仕掛けのお化け達が動き出してしまい、なかなか前に



進めなかった。



やはり機械仕掛けとしはいえ、おばけの姿や声を聞くだけで彼女にはとてつもない



恐怖であり、すぐにその場に固まってしまう。



そこで、後から誰かが入ってくるのを待って一緒に連れて行って貰おう、と



思ったらしいのだが、どれだけ待っても誰もお化け屋敷には入って来なかった。



だから、こんな所に入るのは嫌だって言ったのに・・・・・。



そう思ったが、いつまでもその場所に立ち止まっていても埒が明かないのは



分かっていたから何とか1人で少しずつ前へと進む事にした。



しかし、安っぽいお化け屋敷とはいえ、彼女には敷居が高過ぎた。



光で照らされ浮かび上がる様々な妖怪やおばけの数々に彼女は、恐怖で



固まってしまう。



恐怖で涙が止まらない彼女が考えたのは、このまま目をつぶって少しずつ



前へと進む、という作戦だったようだ。



手探り状態で少しずつ前へと進む。



耳からの音とうっすらと見える床の様子だけを頼りに彼女は進み続けた。



しかし、1歩進んでは止まり、そしてまたゆっくりと1歩を踏み出す。



そんな事をしていても、いっこうに出口らしき場所には、いつになったら



辿りつけるのか?と彼女は途方に暮れていた。



そんな時、彼女の手がある物を掴んだ。



それは明らかに誰かの衣服であり、それは女性のものだとすぐに分かったという。



彼女は一瞬、手を放そうかとも思ったが、これは救いの手に違いない、と



感じた彼女は、前に立つ女性に、



すみません…私、こういう所が苦手で・・・・。



だから・・・あの・・・・申し訳ありませんけど出口まで連れて行って



頂けませんか?



そうお願いしたという。



その声を聞くと、前に立っていた女性も、前へと動き出した。



その女性は何も言わなかったが、それでも彼女は、



何も言わないけど、きっとOKしてくれたんだ・・・・。



そう思って、その女性の後を追いていった。



その女性はどうやら1人で来ていたらしく、それでもどんどんと前へと



歩いていった。



思ってもいなかったペースで前へと進む女性に彼女は歓喜した。



これなら、すぐに此処から出られる・・・・と。



しかし、そうやって歩き続けてからかなりの時間が経過した。



外から見た限りではとてもそんなに大きなお化け屋敷には見えなかった。



彼女はだんだんと不安に駆られていく。



不安はどんどんと増していき自分でも制御できなくなった。



だから、彼女は顔をあげて前の女の人を確認したのだという。



そこには、体が前を向いたまま、顔だけが真後ろに居る彼女を見つめている



女の姿があった。



その顔はまるでマネキンの様な無機質な顔だったという。



そうして固まった彼女に、その女は手を伸ばして来て彼女の腕を掴んだ。



例えようもない程、冷たくベトベトした手だった。



彼女はそれから気が狂ったように暴れて手を振りほどき、その女とは逆の方向へと



走り出した。



もう、お化け屋敷の中だという感覚は無かった。



とにかく、あの女から逃げなければ・・・・・。



その一心で彼女は当てもなく走り続けた。



何処をどう走ったのかは全く覚えてはいないという。



ただ、走り回った末に、一筋の光が見てたので、彼女はその光に向かって



飛び込んだという。



すると、そこには、友人達が彼女が出てくるのを首を長くして待っている



ところだった。



助かった・・・・。



そう思うと同時に彼女は涙が溢れてきた。



しかし、次の瞬間、聞こえてきたのは、友人達の悲鳴だったという。



彼女の背後を指さしながら悲鳴を上げる友人達。



彼女は反射的に後ろを振り返った。



すると、そこには、マネキンのような女が、まさにマネキンの様にして



背後に立っていた。



そして、薄気味悪い笑みを浮かべると、そのままスーッと消えてしまったという。



そして、どうやら、その女の姿を見たのは友人達だけではなかったようで、



一時、遊園地は、パニック状態になったという。



それから彼女の身に怪異は起こっていないが、それ以後、彼女は誰が誘って来ようと



決してお化け屋敷だけには入らない、と心に決めている。


Posted by 細田塗料株式会社 at 18:55│Comments(0)
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