› 看板・サインスタッフブログ | 細田塗料株式会社 › お寺で過ごした・・・・。

2019年06月09日

お寺で過ごした・・・・。

これは俺がかなり前に体験した話。

俺は友人2人と一緒にとある心霊スポットにでかけた。

そこは昔、処刑場として罪人が命を断たれたという曰くつきの場所だった。

その場所は市街地の中にひっそりと隠れるようにして存在していた。

当然、近づく者は誰もおらず、またその土地を利用して何かを建てようとすれば

必ず怪異が起こり怪我人死人が出てしまう。

まさに、リアルな曰くつきの場所だった。

俺は真夜中にその場所に到着し、車から降りたところまでは記憶している。

しかし、それから後の記憶が完全に飛んでしまっていた。

俺はその場所で急に意識を失い、その後、意識を取り戻すと訳の分からない

行動をとり、女の様な声ですすり泣いていたという。

慌てた友人達は俺を急いで病院に運んだが、精神に異常をきたしていると

診断され、逃げるように病院から抜け出してきた。

俺としてはAさんに相談するのが一番なのは分かっていたが、心霊スポットになど

行ったのがバレると、それこそ頭ごなしに激怒されるのは目に見えていた。

だから、俺は友人のアドバイスに従い、とあるお寺に向かった。

そこで俺を見た住職は、今すぐに対策を講じないと命さえ危ういと言った。

どうやら、俺の腕には薄く青いあざの様な輪が描かれていたようだ。

それが目印となり、俺には逃げる術は無いのだと・・・。

そして、住職は俺に対して冷静にこう言い放った。

あなたには昔、その処刑場で命を断たれた女性の怨念が憑いています。

無実の罪で恨みの中で死んでいった女の怨霊です。

そして、あなたにもその苦しみを知って貰い、そのまま冥府に連れて行こう

としています。

その証拠があなたの腕に付けられた青い輪のの様な痣なのです。

それを断つには、あなた自身で除霊をするしかありません。

良いですか。

これからあなたは3日間、この寺でお経を唱えなくてはいけません。

私も、その間、この寺を離れます。

あなたは一人だけでその間、線香とロウソクの火が消えないようにしながら

このお堂の中で過ごさなくてはいけません。

外に出たら、二度と助かる方法は無いと思ってください。

良いですか?

私も、そしてあなたの知人もその3日間、絶対にこのお堂の外からあなたを

呼ぶことはありません。

3日目の朝、あなた自身でこのお堂から出て来てください。

その時には、きっとその女の霊も貴女から離れるしかなくなる筈ですから・・・。

そう言われた俺は、急に恐ろしくなった。

お堂に入る前には住職が俺の体を清めてくれ、そのうち、俺も事の重大さに

気付いていった。

そして、俺をお堂の中に一人残して住職が出ていく際、俺に対してこう言い残した。

良いですか?

霊は自らこのお堂の中に入る事は出来ません。

だから、何があっても、絶対にお堂の外に出てはいけない!

お堂から出たら、死ぬ・・・・。

お堂から出なければ助かる・・・・。

簡単な事です・・・。

と、言葉とは裏腹に心配そうな顔で、そう言った。

そして、一日目がスタートした。

お堂の中では、かなり自由に過ごす事が出来た。

パンやおにぎり、お菓子なども用意されており、スマホの使用も許されていた。

お経を読めとは言われたが、それは、危険を感じたり何かの気配を感じたり

した場合だけで良いと聞かされていた。

だから、俺も簡単な事だと高をくくっていた。

自分からこのお堂を出る事などあり得ない事だ、と。

しかし、丸3日間、お堂の中で過ごすという事は実際にやってみると

なかなか退屈なものだった。

それでも、何とか1日目の昼が過ぎ、そして夜になった。

夜になると、お堂の中の明かりはとても心細いものでさすがに不安になる。

お堂の中は決して広いものではなかったが、それでも時折聞こえる猫の鳴き声や

床板のきしみ音に彼は思わずビクッとしてしまう。

ロウソクの炎が消えそうになり、俺は新しいロウソクを立て、それに火を点けた。

ロウソクの明かりがこんなに暖かく、そして心強いものだとは、俺はそれまで

知らなかった。

そのロウソクの明かりをぼんやりと見ていると、俺の気持ちも落ち着いてきたのか、

すぐに眠気に襲われ、知らぬ間にその場で寝入ってしまった。

それから、どれ位の時間が経過したのか・・・・。

深夜、俺は、カタカタという音で目が覚めた。

ハッとして起き上がると、お堂の障子が音を立てて揺れている。

思わず、身構える俺。

すると、次の瞬間、お堂の障子が誰かが爪で引っ掻いたかのように全て同時に

破られていく。

そして、その破れた隙間から沢山の顔がこちらを見ていた。

明らかに恨みと憎しみのこもった冷たい眼差し。

俺は思わず、座ったまま後ずさりしてしまう。

すると、今度はお堂の入り口の戸がコンコンとノックされ、

○○、大変な事になったね!

でも、もう大丈夫だよ!

もっと安全に隠れる事が出来る場所が見つかったから、ここから出ておいで!

という声が聞こえた。

それは限りなく俺の母親の声に似ていた。

しかし、母親がこの状況を知っている訳が無かった。

だから、俺は体を固くしながら無言を貫いた。

すると、今度は入口の木製の戸が強い力で叩かれる。

ドンドン!・・・・ドンドン!・・・・。

戸を叩く音はどんどん大きくなっていき、いつ戸が壊されるのか、と不安で

いっぱいになった。

そして、俺はその時、気が付いた。

破かれた障子の隙間から無数の顔が、こちらを覗き込んでいるのを・・・。

もう生きた心地はしなかった。

それから朝まで俺は固まったまま動く事が出来なかった。

必死でうろ覚えのお経を口ずさみ、目を開ける勇気も無かった。

そうしているうちに、夜が明けたのか、お堂の中が静かになった。

ぐったりした俺は、そのままじっとしていたかったが、やはりお堂の戸が

気になってしまい、その場から立ち上がると、入口の戸へ向かって歩き出した。

見れば見る程凄まじい光景だった。

お堂の入り口の戸は、強い力で潰された様になっており、その状態を見る限り

とても3日間もの間、俺を護り抜いてくれる様には思えなかった。

朝になると、住職が様子を見に来てくれたがお堂の中には入ろうとはせず、

お堂の外から、

あ~、こりゃ凄いな・・・・。

大丈夫でしたか?

と声をかけてくれたが、俺がお堂から出ようとすると、

出てはいけません!

私も中に入らないのは、同じ理由なのですから!

このお堂の中にはとても強力な結界が張ってあります。

ただ、それは誰か人間が中に入ったり貴方がお堂の外に出たりすれば、それで

結界の効果は消えてしまうのです。

外回りは出来る限り塞いでおきますから、辛いでしょうが、自らの招いた

厄災なのですから、どうか気持ちを強く持ってください!

それにしても、貴方に眼をつけた怨霊というのはかなり強力なようですね。

それなら、尚更の事、このお堂以外に貴方が助かる場所は在りませんし、もしも

中に入られたとしたら、それは貴方が何処に隠れても結果は同じ、という事

なのですから、どうか諦めてください。

とにかく、気持ちを強く持って・・・・。

そう言われた。

住職にそう言われてしまうと俺には何も返す言葉が無かった。

それから、お堂の入り口の戸は補強され、障子も綺麗に張り替えられた。

しかし、そんな事で、あの怨霊から身を護れるのか、は甚だ疑問だった。

そうしているうちに、また夜が来た。

俺は、気持ちが動揺してしまいじっと座っている事など到底出来なかった。

用意された食べ物も喉を通らず、ただじっとお経の本をぼんやりと

眺めているだけだった。

そうして、時刻は午後10時を回った頃だろうか。

突然、お堂が大きく揺れた。

地震か?と思い固まっている俺の目の前でお堂の床がゆらゆらと揺れて見えた。

いったい何が起こるのか?と目を凝らしている俺の目の前で、何かが床を

通り抜けてお堂の中へと押し上がって来るのが視える。

呆然とする俺の前にそれは姿を現した。

その姿は、まるで昔の幽霊画から出てきたように醜悪でおぞましい姿をしていた。

俺は悲鳴を上げてお堂の中を後ずさりする。

そして、それは俺の後を追うように移動するが決して俺に近づこうとはしなかった。

俺はパニックになった頭で考えた。

もしかしたら、これは俺をお堂の外に逃げさせようとしているのかもしれない、と。

ただ、そうだとしても俺の目の前にある恐怖に変わりは無かった。

その時だった。

突然、お堂の戸が、ドンドンと叩かれた。

思わず、ビクッとなった俺だったが、何故かその音が聞こえた途端、目の前の

幽霊も消えてしまった。

どうなってるんだ?

今度はどんな手を使うつもりなんだ?

そう考えていると、お堂の障子がビリビリと音を立てて破られるのが分かった。

そして、再び、お堂の戸が大きく叩かれる。

と、すかさずまた障子がビリビリと音を立てて破られる。

その度に俺の体はビクッと反応してしまったが、そのうちに想定外のものが

俺の眼に映り込んだ。

破れた障子の隙間から、手が差し込まれ、その手はしっかりとピースサインを

している。

ちょっと、待て・・・・。

ピースサインをする怨霊って・・・・・?。

すると、突然、お堂の戸が蹴破られた。

そして、其処に立っていたのは紛れもなくAさんだった。

はぁはぁ…・まだ元気みたいですね・・・。

そう話すAさんは、肩で大きく息をしていた。

俺が、

どうしたの?凄く疲れてるんじゃないの?

と聞くと、

ああ・・・ちょっとKさんを怖がらせようとして頑張ってしまったので・・・。

と返してきたので、

あの・・もしかして、さっきからお堂の戸を叩いてたのも障子を破ってたのも、

もしかして、Aさんなの?

と聞くと、

怖がってくれるかな・・・って思ったもので・・・。

でも、良かったじゃないですか?

私が来たお蔭で、悪い霊も消えたでしょ?

そう言われて、俺はある事に気付いた。

そう、Aさんは、結界を張ってあるお堂の中へ堂々と入って来ていた・・・。

あのさ・・・どうしてくれるの?

Aさんがお堂の中に入って来たから、もう結界が効力を失っちゃったじゃん?

とAさんに嫌味を言うと、

ああ・・・こんな結界じゃ無理です。

あの悪霊は祓えませんよ・・・。

すぐにお堂の中に入られて、Kさんはあちらに連れて行かれると思いますよ!

とはっきりと言ってのける。

反省のかけらもない・・・。

俺が呆れてAさんを見ていると、

そもそも、Kさんが、そんな場所に行くからいけないんですよ!

私が偶然、Kさんが此処に居るっていうのを知ったからまだ良かったですけど

あのままだったら、間違いなくKさん、朝には遺体となって発見されてましたからね!

そう勝ち誇ったような顔で言われるとさすがにむかついてしまう。

そして、Aさんが続ける。

という事で、乗りかかった船なので私が力を貸しましょうか?

今なら私も金欠状態ですから、次の給料日まで、晩御飯を御馳走してくれるという

バーゲンプライスで協力しますけど?と。

本当ならムカついていたので、即座にその申し出を断りたかったが、Aさんの力は

十分分かっていたし、やはり死にたくもなかったので、俺はAさんの提案に

賛同するしかなかった。

だから、俺は、

分かったよ!

それじゃ、Aさんもお堂の中に早く入ってよ!

と言うとAさんは冷たい眼で

なんで、そんな面倒くさい事をしなきゃいけないんですか・・・・。

違いますよ・・・・こんな処で悪霊さん達がお出ましになるのを待っていたら、

いったい、いつになることやら・・・。

だから、こっちから悪霊の元に出向きます!

今すぐに!

さっさと案内してくださいね・・・。

そう言うと、Aさんはお堂の中に置かれていた御菓子類を可能な限りボケっトと

バッグに詰め込んで嬉しそうにお堂から出ていく。

あの・・・・それって俺がお堂の中で過ごす為のお菓子なんだけど・・・?

と言うと、Aさんは涼しい顔で、

もう必要ないから貰ってあげるんですよ!

つべこべ言ってないでさっさとその場所まで案内してくださいね・・・・。

と俺を促す。

俺はAさんの車に乗り込むと、そのいわくつきの場所へと案内した。

時刻は既に12時を回っていた。

辺りは異様な雰囲気に包まれている。

そして、目的地に到着すると、

Kさんは、このまま車に残っていてくださいね・・・。

と言うので、俺は

いや、あの・・・車に一人きりで残されるのも怖いんだけど・・・・。

と返すと、Aさんは少しだけ笑って、

私の車にちょっかい出してくるほど度胸のある霊なんていないから大丈夫!

そう言って、車から降りて1人で暗闇の中へと消えていった。

それから、暫くして、辺りが一瞬明るくなった。

すると、Aさんが戻って来て、車に乗り込むと、

まあ、ざっと、こんなもんです!

良かったですね?

私と知り合いで!

と上から目線で言われてしまった。

結局、それから怪異は全て収まったが、俺にはお寺の修繕費とAさんへの

奢りという地獄が待ち受けていたのは言うまでもない。


Posted by 細田塗料株式会社 at 20:24│Comments(3)
この記事へのコメント
営業のKさん

こんばんは☆
語り人Kさんのブログをこちらにアップして頂き ありがとうござます!
Aさん 姫ちゃんの話がもう一度 読みたくて読みたくて(^◇^;)
本当にありがとうございます☆
また 最初から読ませていただきます(^○^)

それでは 体調に気を付けてくださいませ。
Posted by しゃねる at 2019年06月10日 23:07
Kさん
土日の大量アップ
ありがとうございます(^ ^)
最初は
数話アップしてくれたと
ちょこっとコメして喜んでいたのですが
そのうち
追いつかなくなりました(笑)

できるだけ一気読みしないように
セーブしながら
拝見いたします(笑)
Posted by とも at 2019年06月10日 08:04
アップありがとうございます。(^ー^)

最後にこの話、ありがとうございます。(^ー^)

まさにこわくない話。(^ー^)

ありがとうございます。

お読みになられましたら削除お願いします。
Posted by 大阪のY at 2019年06月09日 23:25
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

count