2019年07月10日

潜在能力

その日、俺はAさんと一緒に曰くつきの祠へと出向いた。

目的はひとつ。

その祠に近づいた為に、何日も高熱にうなされている友人を助ける為。

勿論、自らそんな曰くつきの祠に近づいたのだから、高熱にうなされるのも

反省には良いのかもしれなかったが、その高熱というのが在りえないほどに

体温でありこのままでは死に至ると判断した為に、やむ負えずAさんに

ご足労願った。

ホント…馬鹿ばっかりですね・・・。

一回死なないと分からないんですよ・・・・。

まあ、Kさんの友達になるくらいだから、馬鹿なのはしょうがないかも・・・・。

と相変わらず酷い言われ様だったが、それでも件の祠に到着したAさんは、

祠の前に立ち、珍しくしゃがみ込んでお辞儀をし、そして何やらブツブツと

呟いていた。

そして、しばらくすると、

駄目ですね・・・・。

許す気は無い・・・って言ってます。

まあ、悪いのはこっちの方ですからね・・・・。

と困った顔をする。

それでも、俺が両手を合わせてお願いすると、

ホント!いつもそうやって頼めば何とかなるって思ってませんか?

まあ、Kさんの友達をこのまま死なせるわけにもいかないんでしょうけど・・・。

分かりました。

気は進みませんが・・・・。

そう言って、立ち上がると両手を祠に向かってかざす。

すると、俺の目の前で祠がガタガタと震えだし苦しそうな声が聞こえた後、

静かになった。

はい・・・終わりましたよ!

もう勘弁してくださいね・・・。

祠の中には危険なものも沢山ありますけど、それを建てられたのにも色々と

理由があるんですから・・・・。

今回もかなりヤバかったです・・・。

そして、とても疲れました・・・・。

そう言って俺を見る目は明らかに何かを要求している眼に他ならなかった。

俺はその帰り道にいつもの喫茶店に寄って、Aさんに大量の料理とスイーツを

御馳走させられる羽目になった。

喫茶店のマスターも、またいつもの事か、と笑って見ているのが恥ずかしかった。

他人の視線など全く気にしないAさんは、テーブルマナーなど関係無しに

どんどんと料理を口に運ぶ。

これ以上はもう口の中に入りきらないほどの料理を頬張っては、それをすぐに

胃へと送り込み、すかさず次の料理を頬張る。

この細い体の何処にそれだけの食べ物が貯蔵されていくのか?

Aさんと出会った頃はその食べっぷりを見ているのも楽しかったが、最近では

見慣れてしまい退屈な時間でしかなくなっている。

だから、俺はこんな話を切りだした。

あのさ・・・凄いよね・・・・Aさんも姫ちゃんも・・・・。

どんな悪霊でも怨霊でも簡単に処理しちゃうしさ・・・。

何か特別な人間って感じだよね?

選ばれた能力者っていうか、とにかくある意味、化け物じみてるし・・・・。

やっぱり優越感とかっていうのは感じたりするの?と。

すると、Aさんは不思議そうな顔で俺を一瞬見た後、またすぐに食事に集中する。

だから、俺はまたこう続けた。

確か、Aさんの家系って霊能者の血筋だったじゃない?

だから、きっと小さな頃から自分は違うんだって思ってたんじゃないの?

でも、姫ちゃんは、普通の家系の女の子みたいだし・・・・。

それって、どういう事なのかな?

先天性の才能と後天性の才能って事なのかな?

だとしたら、俺にも後天性の才能が開花する日がいつかは来るのかもしれないよね?

そして、開花した才能がAさんや姫ちゃんを凌駕してたりしたら凄いよね?

あっ、でも俺にも強い守護霊がいるみたいだから、もしかしたら既にその才能が

開花してるってことになるのかもしれないよね?と。

すると、さっさと料理を食べ終わったAさんが、マスターに食後のデザートを

お願いします!という合図を送ってからこう言った。

本当によく喋りますよね・・・・。

まあ、人の食事の邪魔をする才能は認めてあげますけどね・・・。

でも、聞いていて思わず吹き出してしまいそうになりましたよ・・・。

こいつは寝てもいないのに、何を寝言を言ってるんだ・・・って。

いいですか?

姫ちゃんはともかくとして私は少しも凄くなんかありませんよ?

確かに小さな頃からそういう能力があるのは自分でも分かっていましたし、そういう

家系の中で育ったから、それが普通なんだろうって思ってました。

でも、全然普通なんかじゃなかった。

だから、小さな頃はイジメられたりはしませんでしたけど、でも心から親しくしてくれる

友達も少なかったんですよね・・・。

やはり周りはそういう能力を怖がって避けようとしますから・・・。

だから、いつも自分の事が嫌で嫌で仕方なかった。

こんな能力なんか無くなってしまえばいいのに・・・って。

でも、ある時気付いたんです。

私が持っている能力って、間違いなく誰もが持ち合わせている能力にすぎないって。

人間が本来持ち合わせている能力の何パーセントかしか使えていないって話を

聞いた事がありませんか?

だから、私が持っている能力は基本的に誰もが本来持っている潜在能力の1つ

にすぎないんです。

それに気付いてから私はそれなりの修行を積んで今の様になったんです。

あの師匠の下で・・・・。

それこそ、死と隣り合わせの修行を毎日毎日繰り返して・・・。

だから、今私が使っている力は元々あった小さな力を努力で大きくしていっただけ。

でも、世の中には本当に凄い人も沢山いるはずなんです。

身近にも居るじゃないですか?

私はいつも姫ちゃんは別格だと言ってますけど、つまりそういう事です。

あの娘は生まれ持って強い能力を持って生まれてきています。

それも最初から能力が開花した状態で・・・。

あの娘の守護霊とか使役している神獣は関係無く・・・・。

あんな守護霊や神獣を従えているからあの娘は凄いんじゃなくて、あの娘が

凄いから、あんな守護霊やら神獣が後から憑いてきただけですからね。

だから、あの娘が本気で修行なんかしたらそれこそ凄まじい事になるのだけは

間違いないです。

絶対に的に回してはいけない存在ってやつです。

敵に回したらそれこそ手に負えませんから・・・。

でも、あの娘の性格は優しさと癒しの塊ですから、きっとそんな使命を持って

生まれてきたんでしょうから、そんな心配は要らないと思いますけどね!

とにかく、人間っていうのは誰もが凄い潜在能力を隠し持っているんです。

要はそれを使えていないだけ・・・・。

そして、その力はいつ目を覚ますかは誰にも分からないんです。

修行をするのも1つですし、霊能力を持っている人の側にいるだけでも

能力に目覚める場合もありますし・・・。

だから、必要以上に霊というものを怖がる必要は無いんですよね。

アレらは、霊になった事で生きている人間よりはそんな能力が使えるだけ。

本来は生きている人間の方がより強い力を持っていますから。

まあ、だからといって用も無いのに、こちらから危険に飛び込むのも

馬鹿としか言えませんけどね・・・・。

そう言って、Aさんは運ばれてきたケーキを頬張りながらこう続ける。

ちなみに、Kさんの場合、望みは薄いですかね・・・。

こんなに沢山の時間、私や姫ちゃんと一緒にいるのに、何も目覚めない。

まあ、危機感が欠如しているとも言えますけどね。

とにかく、Kさんが、私や姫ちゃんを超えるなんていうのは夢の中だけに

しておいてくださいね。

笑えてお腹が痛くなりますから・・・・。

そう冷たい眼で言われてしまった。

しかし、それでもめげない俺は、

でも、俺の守護霊って凄いんでしょ?

と聞くと、

守護霊と本人の能力は別物だってさっき言いませんでしたっけ?

まあ、こんなだらしない依り代だからこそ、あんな強い守護霊が憑いていて

くれてるのかもしれませんけど・・・・。

そう言われて、さすがのおれももう何も言い返せなかった。


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:26│Comments(0)
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