2015年05月05日

船幽霊の話。

サインディスプレイ部 営業のKです。

連日のライブで、もうかなり握力が無くなってますが・・・・。

それでは、怖い話、いってみよ~!



子供の頃は、夏になると、能登にある母方の実家で過ごした。

叔父さんは漁師をしており、よく漁の無い日には、俺も含めた子供達を船で釣りをする為に沖まで

連れて行ってくれた。

港から釣るのとは違い、簡単なえさで、誰でも大きな魚を釣れるのがとたも楽しかった。

そんなある日、いつものようにそんな釣りをしていると、ふと気付かないうちに一隻の漁船が近くにいた。

その時は、確か、俺の母親も一緒に船に乗っていて、何やら叔父さんと話していたのを憶えている。

あの船ってもしかして?

ああ、多分、間違いないな!

距離にして、100メートル位は離れていたかもしれない。

叔父さんは、その時、いつもと違う何やら険しい表情をしていたのが印象に残っている。

そして、小さな声で、子供達に言った。

釣りは中止だ。それからな、暫くの間、体を低くして隠れててくれ。絶対にあの船を見るんじゃないぞ!

そう言うと、叔父さん自身も、身を隠す為に船の操縦室の方へ入って行ってしまった。

そう言われると、尚更、見たくなるのが子供の好奇心というものである。

母親の方を見ると、両手を合わせてなにやら、お祈りをしている。

実際、こんな状態でも、事態を飲み込めていない自分達、子供には、ほれほど怖いというより

ワクワク感の方が強かったんだと思う。

俺達は、その船に見つからないように体勢を低くしながらも、船の動きを目で追っていた。

まるで、かくれんぼでも楽しむかのように。

そうしていると、船は少しずつ、こちらの船に近づき、そして俺たちが乗っている船の周りを回るような動き

をしだした。

そして不思議な事に、動いているのにも拘わらず、エンジンの音は聞こえなかった。

そうしているうちに、その船は回る円を少しずつ小さくして、徐々に、この船に近づいて来ていた。

その時、たぶん従兄弟の女の子だったと思うが、身を乗り出すようにして、その船を凝視して、おじさんに向

かって言った。

あの船、誰も乗ってなかったよ。きっと難破船か何かじゃ・・・・。

言い終わらないうちに、おじさんの小さいながらも怒った声が聞こえる。

馬鹿野郎!見つかったらどうする!

そう言い終えて、船のほうを見たおじさんの驚いた顔。

そして、俺達も、その船の方を見た。

船に音もなく、スーっとこちらに近づいて来る。

その動き方に、子供心にも、得体の知れない怖いものを感じた。

そこで。叔父さんは、子供達に説明してくれた。

昔からこの辺りには船幽霊というものが出て、過去に何人もの漁師が行方不明になり、その後、無残な姿

で発見されたらしい。

それは、まず、気付かないうちに船の近くに突然現れる。

そして、そこに誰かが乗っていると分ると、回りをぐるぐる回って、ゆっくりゆっくり近づいて来る。

だから、最初、もしかして?と思い、叔父さんは船のエンジンを掛ける事をしなかったらしい。

だが、どうやら、もうこちらの船に人が乗っているのがばれてしまったみたいだから・・・。

そういうと、叔父さんは、口をつぐんでしまった。

そして、言った。

こうなってしまったら、普通ならもう絶対に助からない。

だけど、叔父さん達、大人が犠牲になってもお前達だけは何とか助けてやりたい。

だから、これからしばらくの間、怖いかもしれないがちゃんと言う事を聞いてくれ!

叔父さん達、大人の真剣な顔に底知れない恐怖を感じた。そして・・・。

いいか、これから港まで何とか逃げるから、しっかりつかまってろ。
そして、絶対にあの船に、姿を見られるな。もし、見られたら・・・・。

そこからは良く聞き取れなかったが、おじさんの慌てている様子にただ事ではないという事が

伝わってくる。

港から、此処まで来るのに、20分位掛かった筈だから、このままの苦しい体勢で20分我慢しな

ければならない。

そして、何よりも、見つかったら、そして追いつかれたら・・・と思うと恐怖がこみ上げてきた。

母は、さらに強く祈っている。

子供達だけでも助けてください、と。

船はかなりのスピードで進んでおり、

低い波でも、転覆するんじゃないかという恐怖まで感じていた。

そして、ふと、あの船に視線を移す。

不思議な事に、この船とロープでつながっているんではないかという位、ピッタリとついて来ている。

しかし、あちらの船は、全然揺れていなかった。なんで?だって、この船はこんなに揺れてるのに!

だが、あの船を見ていると、全ての疑問が恐怖心に変わる事に気付き、俺達子供も、母親を真似

るようにして、一心不乱に祈る。

そして、子供達の中では一番年長である俺の兄が呼ばれ、何やら、おじさんと話していた。

そして、戻ってきた兄に聞いてみた。

何話してたの?

ああ、いざという時は、おじさん達、大人が犠牲になるから、その時は、お前が船を港まで進めろ!と、

簡単な船の操縦を教わっていたという。

だって、船はあれ以上、近づかないだろ?と言いかけて言葉が詰まる。

先程より、明らかにこの船との距離が縮まっていた。

そして、暗くて、よくは見えなかったが、船室に男の人らしき顔も見えた。

おじさんは、しきりに無線で仲間の船に助けを求めていたが、何故なのか、全く繋がらないようである。

後で聞いた話では、おじさんは、既に覚悟を決めていたようである。

しきりにダメだ。無理だ。と叫んでいる。

子供にも、かなり向こうに見える港の灯台が、全く近づいていない、いや逆に遠のいている様に感じた。

そして、その船はついにジャンプすれば飛び移れるような位の距離まで近づいていた。
今度はさすがにはっきりと見えたのだが、船室に二人の人影が見えたが、決して暗いくらい昼間なのに

その顔は、ぼんやりと霞んでいた。

もう、駄目だ!叔父さん達が叫んでいた。

そして、叔父さんはその船に飛び移って、なんとかしようと思ったのか、無我夢中で近くにあった棒のような

物を手に取り、体にもロープを結び付けていた。

もう、その頃には、空は黒く曇り、ずっと耳鳴りが響いていた。

子供心にも、無意識に死ぬかもしれないという恐怖に支配され、皆泣きじゃくっていた。

そして、そこにいる皆が覚悟していた。全ての終わりを・・・・。

その時である。

本当に偶然の出来事であったのだろう。

一隻の船が警笛を鳴らしながらぐんぐんこちらに向かってくるのが見えた。

そして、無線でしきりに、何かあったのかと、こちらに問いかけている。

すると、例の船は、スーっと離れ出して、そのまま波間に消えていった。

無線で、こちらの事情を話すと、その漁船は、一緒に港まで行ってくれると言った。

そして、その船からは、おじさんの船以外は見えなかったという事も聞いた。

その後、無事、港へ着いた船から降りると、おじさんは、あれが船幽霊であること。

そして、姿を見られたり、追いつかれたりすると、そのまま、行方不明になったり、沈没した状態で見つかる

のだという事を話してくれた。

その後、母から、母が小さい頃、港の近くで大きなタコに何隻もの船が転覆させられた話なども聞かされ、

海には、いまだに人知が及ばない場所がたくさんある。

そして、その中には、船になって霊がさまよっている事もあるのだ、ということを実感させられた。





Posted by 細田塗料株式会社 at 16:45│Comments(1)
この記事へのコメント
営業のKさん

これが後の葬儀の際、セミ擬きの容姿をした怪物が、叔父さんの亡骸を奪いに来る・・・に繋がるんでしょうか?

幽霊線・・・不思議なお話しです。
Posted by 中西 at 2017年04月15日 20:11
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

count