2015年05月31日

笑い女という恐怖!

サインディスプレイ部 営業のKです。

先日、とあるお客様のところへ訪問すると、そこの女性社員の方から、

Kさんって、あんな話しを書く人だとは思いませんでした。

もう話しかけないでください!と完全に

変質者扱いされてしまいました。




怖い話しを書くのをライフワークとしておりますので、

へこたれず、今日も怖い話し言ってみたいと思います。

それでは・・・始まり始まり。



昔の日本の妖怪といわれるモノの中には”笑い女“というものが存在したようだ。

なんでも、江戸の町で、のんびり縁側で寛いでいると、塀の外、どこからともなく女性の

笑い声が聞こえてくるという。

そして、その笑い声に、つられて、クスッとでも笑ってしまうと、自分でも笑う

のを止められなくなってしまい、その間、塀の向こうにいた女がどんどん巨大化

していき、最後には、家ごと、踏みつぶされて、殺されてしまうというもの。

昔の妖怪というものは、その世相を反映して、世間を戒める為に考え出された、と

いう説もあるが、本当に全て架空の産物なのだろうか?

今回の話は、自分の祖父に関する話だが、今書いた笑い女という妖怪がそれに

該当するのかは分らないが、不思議な話なので書いてみようと思う。

先日、従兄弟と酒を飲む機会があり、その時に従兄弟から、あの話覚えてるか?

と言われて、昔の記憶が蘇ったのだが・・・。

自分の祖父は、昔は旧日本軍の軍人であり、いつも穏やかで優しい人物だった。

ただ、ある出来事を境にして、全く笑わなくなってしまった。

その、ある出来事、とは以下のようなものだった。

確か、夏休みか何かで、父の実家へ帰省した時の事だったと思う。

父の実家は、今は白山市になっているT町という所にあった。

クワガタや魚釣りと夏休みの退屈しのぎには、事欠かなかった為、全国から

親戚や従兄弟が毎年、集まってきていた。

自分も歳の近い従兄弟が、そこに来るのに合わせて、父の実家へ帰省するのが、とても

楽しみだった。

そして、その年も、遠くから同い年の従兄弟が帰省してくると聞いて、急いで、父の実家

へ向かったのを覚えている。

ただ、今思えば、その年は、何かがおかしかった。

自分が実家の裏を流れる川で、釣りをしていると、突然、後ろから、川に突き落とされた。

運よく、兄に助けられ、事なきを得たのだが、その時、川の流れに飲まれながら流されて

いく自分の目に映るもの。

着物を着た女が、自分が座っていた場所に立って、大きな口を開けて笑っていた。

その後、両親に説教され、何故川に落ちたのか、と問い詰められたが、その女の事は

何故か怖くて口に出来なかった。

そして、自分と同い年の従兄弟も、同じ頃、やはり神社階段から、突き落とされ、軽い

怪我をしていた。

そして、これは、彼が自分にだけ話してくれたのだが、やはり自分と同じように、階段を

転げ落ちながら、高笑いする女を目撃していた。

普通なら、怖くなって、そのまま、帰省を中止しそうなものだが、そこは、退屈さに辟易

している小学生である。

二人で、あの女を見つけて退治しよう、という無謀な計画を立てた。

ただ、そんな自分達の計画を一人だけ見抜いていた者が居た。

祖父である。

祖父は、自分達二人を部屋に呼び、こんな事を言った。

お前達、川や階段で落ちた時、後ろから突き落とされたんじゃないだろうな?

口篭る自分達に、祖父は続けた。

ワシがまだ子供の頃、その年の夏にねお前達と同じように何人もの子供が川や階段で

突き落とされた。あるものにな。

そして、その年、その子供達は、皆、神隠しのように突然、行方不明になったんだ。

もしかして、お前達も、着物を着た女に突き落とされたんじゃあるまいな?

話を聞いているうちに、退治する気持ちも失せ、ボロボロと涙を流しながら、祖父の

珍しく厳しい顔や言葉に頷いていた。

話が終わり、自分たちが頷いたのを見ると、祖父は、元気付ける様に、豪快に笑った。

大丈夫!何も心配せんでええ!ワシに任せとけ!

そういうと、祖父は、一人で家を出て行った。

そして、もう外も暗くなる頃に、帰ったきた。

そして、再び、自分たちは呼ばれ、あるものを渡された。

これは、昔から由緒ある神社の護符だ。肌身離さず持っていなさい。

そしてな、辛いかもしれんが、明日、ワシと一緒に山の上にある神社に行ってもらう。

これは、お前達を守る為には、避けて通れない大切な事だから、我慢してくれ!

ワシも一緒だし、何より、その護符がお前達を守ってくれるから心配ない。

だから、今日は、もう寝なさい。

ただし、夜中に、もしも誰かに扉や障子の向こうから、開けてくれ、と言われても、

絶対に開けてはいけない。

ソレは、お前達の親やワシの声を真似ることが出来るから、絶対に相手が開けるまで、

何があっても、こちらから開けるな。

あいつらは、声色を使って、相手に扉や障子を開けさせようとするが、自分では

決して開けられないから。

だから、お前たちが、騙されて開けなければ、心配ない。

そういうと、祖父は、さっさと寝てしまった。

自分たちは、もう怖くてどうしようもなかったが、子供心に、親や兄弟は巻き添えに

出来ない、と思い、従兄弟と二人で、二階の新しい洋間で寝る事にした。

そして、その夜、それは、やってきた。

疲れたのか、自分達ふたりは、心配をよそに、すーっと深い眠りに就いていた。

そして、夜中の2時を回った頃、従兄弟と自分は、ほぼ同時に目を覚ました。

何かが、ドアをノックしている。

そして、聞こえてくる母の声。

お父さんが、もう帰るって言ってるから、さっさと支度しなさい。

とりあえず、このドアを開けてちょうだい、と。

無言でいると、今度は祖父の声が・・・。

お前達、もう大丈夫だから、部屋から出てきなさい。

祖父の声に、体が反応しそうになったが、従兄弟に止められる。

じいちゃんの声に似てるけど、なんか違う。

それに、夜中にこんな大声だしてるのに、他の者は何も反応してないし。

確かにそうだった。

祖父からは、アレは自分でドアを開けられないと聞いていたので、大声で応えた。

それに、こちらの大声が他の誰かに聞こえれば、助けに来てくれるかも・・・・。

自分たちは、精一杯大きな声で言った。

そんなに言うなら、じいちゃんから、入ってくれば?

何故、そんなに強気になれたのかはよく分からないが、とにかく大声で何度も叫ぶ。

一旦、静かになった。

もう居なくなった?そんな事を話していると、急にドアがドーンと揺れた。

体当たり?入って来れないんじゃ?

その後は、従兄弟と二人で布団の中で知りもしないお経を真似つつ、震えていた。

そして、知らぬうちに寝てしまったようで、もう起きなさい、豪快にドアを開けて入って

くる叔母さんの声で目が覚めた。

そして、朝食の後、祖父に昨夜起こった怪異を話した。

やはり目をつけられたか。のんびりしてられないな。

そう言い、自分達二人を連れて、山へ行く準備を始めた。

実は、今夜は山の神社に泊まる事、そして、他の大人達は、一緒に行けない事をそれぞれ

の両親に話し、祖父と自分達は、心配そうに見送る両親達をよそに、お昼前には、家を

出発した。

山を登り始めると、祖父が色々と話してくれた。

今から、行く山は、昔から神が住むといわれている事。

そして、神と妖怪は紙一重、悪いモノもいるが、お前達を助けてくれる良いモノも沢山

いる。

だから、山に対する感謝の気持ち、そして助けてくださいと懇願する気持ちを強く心に

持ちながら山道を登らなければいけない事。

そして、自分達が渡された護符があれば、なにも心配する事はないという事。

そんな話を聞かされながら、自分達もどこか神妙な気持ちで山道を進んだ。

山頂に着いたのは、ちょうど夕方だった。

山頂には、とても立派とはいえない小さな神社があった。

今晩は、朝になるまで、この社の中で過ごすようだった。

それぞれの両親が作ってくれたお弁当を食べながら、祖父が注意事項を説明する。

絶対に護符を肌身離さない事。

絶対に、朝が来るまで、笑わない事。笑うとアレを引き寄せるそうだ。

そして、絶対に、社の扉を自分から開けない事。

なんでも、自分から扉を開けなければ、アレには、自分達の姿は見えないそうである。

そして、最後の注意事項は、何があったとしても、明日の朝、山を下りる道中、絶対に

後ろを振返らない事。

これらの話を聞き、怖いことは怖いのだが、祖父が一緒に居るということで、とても

安心出来たのを覚えている。

祖父や従兄弟と色んな話をしているうちに、お腹もいっぱいなのもあってか、知らぬ間に

眠りに落ちていた。

そして、どれ位眠っただろうか。

突然、扉を叩く音で眼が覚めた。

外からは、朝の光が差し込んでいた。

お~い。心配で、迎えに来た。もう朝だから大丈夫!早く出ておいで!

従兄弟の父親の声だ。母親の声も聞こえる。

実は、自分の父親や母親の声も聞こえたのだが、声は限りなく近かったが、話し方が

微妙に違って感じた。

しきりに時計を見ながら、首を横に振り続ける祖父。

もう大丈夫なんじゃない?もう外にでようよ!朝まででしょ?と従兄弟。

祖父がポツリと言う。

まだ、日の出まで時間がある筈なんだが・・・。

そして、祖父は、突然声を荒げた。

騙されんぞ!早く立ち去れ!この子達は絶対に渡さん!

そういわれ、扉の外からは、こんな声が聞こえる。

それじゃ、もうお父さんもお母さんも、家に帰るから、お前はそのまま、じいちゃんの

家の子にしてもらいなさい!と語気を荒げてきた。

そして、その時、従兄弟の不安と焦りが我慢の堤防を決壊させた。

従兄弟は、突然立ち上がると、勢い良く、扉をあけてしまった。

こら、駄目だ!という祖父の声よりも早く、扉の外に飛び出す従兄弟。

扉の外はまだ夜だった。

騙された?と思った瞬間、従兄弟の悲鳴にも似た泣き声と、それをかき消すように

大きな女の笑い声が辺り一面響き渡った。

自分を川へ突き落としたあの女だった。

何故か分からないが、その女は尋常ではない位、大きかった。

慌てて、外へ飛び出していく祖父。

そして、従兄弟を掴んで、もう一度社の中へ放り込んだ。

ワシが扉を外から押さえるから、お前達は、護符をしっかり握り締めてなさい!

そういうと、祖父は、扉を背にして、座り込んだ。

自分達は、泣く事しか出来ず、ただ護符を握り締めていた。

その間も、ずっと女の笑い声が、すぐ近くから聞こえていた。

自分達は、そのまま眠るというより、意識を失い、朝になって、神主さんの様な服を着た

男の人に揺り起こされた。

もう大丈夫!ワシがちゃんとお前達を山を下りるまで付き添うから。

そう言われて周りを見ても、祖父の姿はそこに無かった。

おじいちゃんは?と聞く自分たちに、その男の人は、

おじいさんは、きっと、もう山を下りている頃だから。

大丈夫!何も心配要らないから・・・。

そう言われて、自分達は急いで山を下りる事にした。

その男の人は、自分達の前を歩きながらも、体は自分達のほうへ向けて、楽しい話し

を沢山してくれた。

そして、どちらかが、後ろを振返りそうになると、厳しく怒られた。

でも、不思議と、その男の人と居ると、怖いという気持ちがどんどん消えていくのが分か

った。

そして、随分と歩いて、かなり麓の方まで降りてきた時、その男の人は言った。

もう、完全に大丈夫だから。怖いことはもう忘れなさい。

そういって、自分は、今来た山道を引き返していった。

無事に麓までおりてきた嬉しさと祖父が心配という気持ちから、自分達はついつい走って

家に向かった。

そして、家に着くと、家の前でそれぞれの家族が心配そうに待っていてくれた。

そして、祖父が一人で帰ってきて、もう終わった!だけ言って自分の部屋に入っていった

事を聞かされた。

自分達は、お礼とごめんなさいを言う為に二人で祖父の部屋に向かった。

部屋に入ると、祖父は、疲れきった様にぐっすり寝ていた。

自分達は、声もかけずに、じっと祖父の寝顔をみていた。

しばらくすると、祖父が自分達に気付き、声を掛けてきた。

もう心配することはないからな。終わったんだ!

そう言われて、ありがとう、とごめんなさいを連呼していると、祖父が続けた。

お前達に悪さしたのも、山の神だし、お前達を助けてくれたのも山の神だ。

山や自然を嫌いになってはいけない。

そして、あの時、扉を閉めてから、何があったのか、聞きたいと思うが、頼むから、

それは、聞かないでくれ!

その祖父との約束を守る誓いを立てて、その夏の帰省は終わった。

ただ、それから、祖父は、全く笑わなくなった。

無感情というよりも、笑う事を恐れているように・・・。

そして、月日が流れ、祖父が亡くなる前に、病院に見舞いに行った時、その約束をついに

破ってしまった。

あの時以来、祖父は笑いを封じてしまい、きっと辛い人生だったはずである。

そして、それに対して、大人になった今、何か出来る事は無いか、という事がずっと

胸につかえていたから。

じいちゃん、あの時、何があったのか、教えてくれないかな?

唐突な自分の問いかけに、最初は、驚いた顔をしたが、祖父は、静かに話し始めた。

昔から、あの地方には、笑い女という妖怪とも神とも言われるものが居て、狙った者に

印を付ける。お前達が突き落とされたのもそれだ。

そして、あの夜、扉の外で、ワシは、アレが笑いながら、どんどん大きくなるのを見た。

そして、恐ろしい事に、その笑う声を聞いていると、自分も笑いたくなってしまった。

ソレは自分も笑わせようとしているのが手に取るように分かったので、死ぬ気で笑うのを

我慢した。

きっと、一人なら、つられて笑っていたか、気が狂っていたと思うが、ワシがしっかり

しなければ、お前達が・・・と思えたから、何とか乗り切れた。

だから、お前達は何も悪い事はしていないし、謝る必要は無い、と。

そして、従兄弟にも、この事を話してやってくれと頼まれた。

そして、最後に祖父が言った言葉が忘れられない。

お前達は、あの女をいまだに見たりする事はないんだな?

それなら、良かった。

ワシには、いまだに、アレが頻繁に見えるんだ、

そして、あの笑い声も。

だから、自分から笑うのを封じた。

笑うと、アレはいつもそばに近寄ってくるから。

でも、何より、お前達が平穏無事で本当に良かった!と。

この話の山は、今も実在します。







Posted by 細田塗料株式会社 at 20:11│Comments(2)
この記事へのコメント
営業のKさん

日出る国の先祖は、自然と共存共栄して来ましたもんね。
神道はその現れです。

幽霊船と言い、笑い女と言い・・・Kさん、幼い頃から何ちゅう体験をされているんですか(泣
ご無事で何よりです。
Posted by 中西 at 2017年04月16日 17:51
なんででしょう。
自分ではわかりませんが読んでてすごく涙がポロポロでてきてしまいました…
なんなんでしょう…よくわかりません。
助けてくれるのも沢山いる。。。

祖父のような昔を知っている方の知識って本当に大切で語り継いでいくべき土地の記憶ですよね。
私は都会の生まれと育ちで田舎がないので、遠出しようとなると高層ビルの雑踏より田舎に連れてってもらい、山々をぼ~っと眺めたりしでしたが、
氏神様に挨拶は必須ですね。
Posted by メチャ✩ at 2017年06月28日 12:54
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