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2016年01月02日

引越しのバイトでの怪異

サインディスプレイ部  営業です。

新年早々、この御めでたい雰囲気の中で、怖い話を書いている

俺は、何なんだろう?と自問自答の日々。

皆様、如何お過ごしでしょうか?

それでは、ひっそりと怖い話スタートします。

それでは。



大学時代の話。

大学に通っていた頃は、それこそ、試験前以外は、授業にもあまり

出席せず、もっぱら大学に行くのは、安い食事で済ませる時に

大学の学生食堂を利用する時くらいのものだった。

まあ、自分の父親には、大学に行くんだから、勉強は、程ほどで

良いから、一生涯の友人を沢山作ってきなさい、という

ありがたい?お言葉を頂き、俺はそれをきちんと実践したことになるのか。

そんな大学時代だったから、友人というのは、本当に多かった。

多かったというのは、その友人達も、結構亡くなってしまった方も

沢山いて、今はもう・・・。

この辺の話は、また別の機会という事で。

で、今回は、大学時代にやっていた引越しのバイトでの話。

これも、仲の良い友人に誘われてのバイトだったが、確かに

労働的には過酷で疲れるのだが、引越し作業が終わると、依頼主さんから

殆どの場合、バイト代とは別に、謝礼が渡された。

それを皆で分けるのだが、少なくても、一人5千円、多い時には、

一人2万円くらいの謝礼が貰える事もあった。

なので、労働はきつくても、なかなか辞められなかったのだが、

実はある事が有って、すぐにそのバイトを辞めた。

今回は、そのある事についての話である。

俺のバイトしていた引越し会社は、それなりに名前も知られている

そこそこ大手の引越し会社だった。

そして、勿論、今もきちんと存続している。

仕事自体は、地域別にある程度、振り分けられていて、俺のグループは、

神戸市の須磨近郊での引越しが中心だった。

神戸市の須磨というと、例の酒鬼薔薇事件がこの後、発生する場所なのだが、

基本的には新興住宅地であり、綺麗な家と真新しい団地が立ち並ぶ明るく

理想的な町並みだったのをよく記憶している。

で、自分達がやっていたのは、引越しをされる方の住居に訪問し、

そこから荷物をトラックに積み込むまでの仕事。

引越し先での仕事は、普通、別の拠点のグループが担当していた。

だから、通常は、一日に2件~3件の引越し作業をこなしていた。

だが、ある日、妙な依頼が入ってくる。

ある団地からの引越しなのだが、引越し先は、そこから1Km

も離れていない同じ様な団地。

そして、通常では、団地の引越しには、せいぜい3~4人で

対応するのだが、その時は、依頼主の希望で、出来るだけ多くの作業員

に来て欲しいというものだった。

そして、通常、その場合、代金も多くのバイトを使う事になるので、

かなりの高額になるのだが、実際には

その依頼主は、他の作業予定に割り込んででも、一日でも早く引越ししたい

との事で、実際、通常の引越し費用の5倍近い金額を支払ったと聞いた。

ここまでは、確かに、会社にとっては、素晴らしい客なのだが、

ある事情が話をややこしくしていた。

というのも、その団地というのは、業界では有名な幽霊団地として

知らない者はいなかったから。

そして、後で分かった事なのだが、今回依頼してきた方は、その団地

に住む最後の居住者であり、他の家族も皆亡くなってしまい、

精神的におかしい、と噂されている人物だったという事。

そして、これはネタバレになるので、今は書かないが、ある事件の

犯人だったということ。

会社側は、正直、割の良い仕事であり、すぐにでも快諾したかったの

だろうが、さすがに、社員には強要しづらかったのか、なかなか

決定には至らなかった。

ただ、自分達バイトとしては、バイト代も高額だし、なんか楽しそうだし、

と不謹慎な理由から、かなり乗り気だった。

で、やりましょうよ!とバイトの総意として提言すると、あれよあれよと

いう感じで、すぐに引き受ける事になった。

で、それなら早いほうが良いということで、翌日、早速、その団地での

作業を予定に入れられた。

そして、やはりバイトだけでは問題だろう、ということで、社員からも

一人リーダーとして選出された。

その社員さんの俺達バイトを見つめる恨めしそうな目が、今も記憶に残っている。

それはさておき、当日は、生憎の雨模様であったが、自分達バイトは、高収入

の予感と肝試し的な興奮から、かなりハイテンション。

逃げ出したそうな社員さんは、なるべく視界に入れないように車に乗り込む。

車は引越し用の中型トラックと予備のワンボックス。

それに、社員さんとバイト軍団?で分乗した。

メンバーは社員である30代の男性1人と、バイト陣8人。

俺は運悪くというか、社員さんと同じトラックに乗り目的の団地へと

向かった。

嫌味でも言われたり、怒られたらヤダな~、と思い、こちらもダンマリを

決め込んでいると、社員さんが、一言つぶやいた。

お前たちが望んだんだから、自分の身は自分で護れよ。

たぶん、俺はお前らの安全とかに気を配る余裕なんて無いと思うから。

それくらい危険な現場だっていう自覚は忘れないでくれ!

そして、

死ぬなよ!と低い声で。

さすがに俺も冗談には聞こえなかったので、思わず聞き返した。

○○さん、また、そうやって脅かすんだから(笑)

すると、その社員さんは、こう続けた。

あのな。噂話とか心霊スポットとか、そういう乗りであの現場が嫌なんじゃない。

昔、あの現場の団地には、人が沢山住んでいたんだ。

当然だけどな。

それこそ、大きな新築の団地が3つ並んで建てられ、それがすぐ完売したんだ。

ということは、少なくとも各棟に30家族、それが3棟で90家族。

一家族平均3人だとしても、合計で270人。

凄い人数だろ?

でも、1家族、1家族と減っていって今じゃ、残ってるのは一人だけでさ。

1家族じゃないぞ。たった一人だ!

しかも、そこから引越し依頼がくる度に、その作業に関わった作業員や依頼主が

原因不明の怪我や病気、そして事故死している。

その数は、単なる偶然というのを完全に逸脱している。

なかには、作業中、変なものを見て、気が変になって、そこから飛び降り

自殺した者もいるんだ。

そんな所にひとりで、たった一人だけで暮らしているという人間の気持ちが

俺は一番怖いけどな。

俺は仕事なんだから、まだ諦めもつくけどな。

だから、お前達は、誰も死ぬな。絶対に!

そう言われて、思わず息を呑んだ。

そうこうしているうちに、トラックは、現場に到着した。

車を指定の階段の下辺りに駐車し、車から降りた自分達をすぐに後悔の念が襲う。

生憎の雨とはいえ、その場所は、明らかに外界から隔離された異世界だった。

とにかく、暗くジメジメとしていて、息苦しい。

そして、すぐに感じたのは、夏の時期だというのに、異様に寒いのだ。

それでも、依頼主の部屋の窓を確認するべく、上を見上げた自分達。

だが、そこには、自分達を更なる恐怖に突き落とす情景があった。

なんと、依頼主であろう、一人の男が窓から身を乗り出して、満面の

笑みで手を振っていた。

それは、まるで、新しい犠牲者を待ち望んでいた様な吐き気を催すような笑顔。

少なくとも、自分はそれまで生きてきて、そんな嫌悪感を感じる異様な笑顔

というのは見た事がなかった。

いや、強いて言えば、エクソシストで悪魔が憑依した少女の笑顔とか、

死霊のはらわたで死霊に憑依された女性が窓際に座り、首を左右に振りながら

童謡を歌っている時の様な邪悪な笑顔。

社員さんと同じ車で、例の話を聞いていた俺だけでなく、他のバイト達も、

それらを見て、明らかに顔がこわばっていた。

とにかく皆の視界に入るモノ全てが異様であった。

5階建ての大きな団地は、築3年とは思えないほど、薄汚れ、ひび割れ、

所々が湿気ていて緑色に変色している。

そんな建物が3棟、整然と並んでおり、その何処にも人間の生気という

ものが微塵も感じられなかった。

まるで、異世界にでも入り込んでしまったかの様な不安感が募った。

ただ立ち尽くすしかない自分達。

だが、それは、社員さんの一声で皆、ハッと我に帰った。

さあ、早いとこ、片付けてしまうぞ!

その声で、どうしたら良いか、分からず呆然としていたバイト陣も、

体に覚えこませた引越し準備に自然と取りかかった。

通常、家具などを運び出す前に、家に入り、運び出す段取りを家主と

打ち合わせし、曲がり角や家具を擦りやすそうな場所には、あらかじめ、

養生用のクッションを当てるというのが、いつもの最初の行動だった。

だが、社員さんが何よりも先ず指示したのは、窓という窓、階段という階段

の下に、かなり厚手のマット状のクッション材をひくという作業。

移動中の車で聞いた、過去の作業員の事故死の話が改めて身に染みてきた。

と同時に、社員さんが自分達バイトの危険を何とか回避しようと上司に

掛けあって、用意してくれたであろうクッションマットがとても心強く

感じ、バイト一同、少なくともこの現場では、なにがあろうと、

社員さんの指示を守り、社員さんも含め、誰一人怪我する事なく、この

現場を終えるように、と皆の気持ちは1つになった。

そんなだから、通常、リーダーのみで行う家主との段取り打ち合わせも

バイトを含め、全員で行く事になった。

重い足を引き摺るようにして、階段をあがる。

だが、その団地は、話に聞いていたのとは全く違った。

誰も居ない筈の団地。

だが、自分達が団地の階段を上っていくのを待っていたかのように、

各階の玄関ドアがスーッと開いた。

そして、そこには、依頼主と同じ様な異常な笑顔をした人間の形をした

モノが、一人、多い家には4人位立っていた。

そして、皆、笑っていた。

何も喋ることなく。

何か退路を絶たれた様な気がしたが、その異様さに、自分達は一気に

階段を駆け上るしかなかった。

そして、依頼主が住むという最上階に到着。

依頼主は、相変わらず不気味な笑みを浮かべたまま、そこに立っていた。

そして、お待ちしていましたよ!と小さな声で言った。

その時にはもう失礼とか礼儀とかいうものは頭から消えてしまっており、全員が

転がりこむ様にして、その家に入った。

が、何かおかしい。

何も無いのである。

普通、生活をするのには、最低限の家具や設備が必要な筈である。

が、何も無いのである。

ただ、大きな居間にポツンと二つの箱が置かれているだけ。

荷物はこれだけですか?

社員さんが、そう質問する。

はい。これだけで結構ですよ。

ただ、絶対に傾けたりしないで、運んで欲しいんですが。

ただ、それだけ言われた。

社員さんも、それなら、すぐに終わりそうだ、と思ったのか、急いでその箱を

荷造りしだした。

が、その二つの箱はとてつもなく重かった。

そして、重いだけはなく、中からの音を聞くかぎり、なにか液体が入っている

ようであった。

この荷物を出来るだけ傾けずに階段を下りられるのか?

全員が顔を見合わせたが、とにかくやるしかなかった。

とりあえず、全員で一つ目の箱を持ってみる。

重い。

そして、持った途端にもの凄く嫌な冷たさを感じて、一斉に手を離してしまった。

それを見て、依頼主は、穏やかな口調で

気をつけてくださいね、とだけ言った。

とにかく、早くこの場から去りたい。

その思いだけが、全員の願いであったから、再びその箱を持ち上げる事に

誰も躊躇しなかった。

今から玄関に向かい、玄関ドアを開ける。

先頭の人間が、思わず、ヒッという言葉を発した。

ドアの外には、先程、会談を上ってくる時に出てきたモノたちが群れとなり

集まってきていた。

社員さんが、無理に冷静を装って大声で話しかける。

すみません。危ないので下がってくださいね。

その声は震えていた。

そして、自分達は、そのモノ達の中を、重たい箱を持ち下り始める。

まるで、葬儀の出棺を思わせるような光景だった。

ただ、正直、この重たい箱を傾けずに階段を下りるなど、不可能な話であり、当然

前方がさがり、箱が傾いた。

そうすると、その箱からは、赤黒くて臭い液体が溢れてくる。

前方、もっと頑張れよ!と声を掛けようとして、声が出なかった。

前方が下がった事によって、周りのアレの顔が見えたからである。

そこには、先程の気味悪い笑顔は誰一人としてなく、全員が怖い顔で

箱を運んでいる自分達を睨みつけている。

自分達全員の降りる速度が恐怖の為、速くなる。

でも、おりてもおりても階段を下りても下りても、どんどんアレの数が増えていく。

どこにこんな大人数が隠れてたんだ?

そんな事を考えながら、更に階段を下りる速度は加速していく。

そして、3階から2階へ降りる階段で、それは起こった。

何かが、後ろから強く押したのである。

当然、全員がバランスを崩して、階段を箱と共に転がり落ちた。

うー、と苦しそうに唸っている者もいたのだが、後ろを振返り、そこに

あるものを見てしまい、全員がそのまま箱を置き去りにして逃げ出す事になった。

そこには、青白く、腐りかけて変色したかのようなモノ達が、ニターっと

おぞましい笑みを浮かべていたから。

結局、その場から逃げ帰った自分達だが、不思議と会社からは、お咎めは

無かった。

ただ、自分も含め、殆どの者が怪我をし、中には、骨折した者も数名居た。

そして、一番最前列で箱を運んでいた者の話も、その恐怖に拍車をかけた。

どうやら、運んでいた箱を落とした時、箱が壊れていないか確認しようとした

らしいのたが、その時、その箱から、青白い手が出てきて、箱から出ようと

していたというのである。

もしも、それが本当なら、あのまま荷物を運んでしまっていたら、自分達は

どうなっていたのか。

想像すらしたくなかった。

そして、これは、後日談であるが、

どうも、あの依頼主は、一緒に住んでいた妻と娘を殺害し、どういう方法かは

不明だが、箱に詰めていたらしい。

というのも、後日、ニュースであの団地が解体され、あの部屋から、水槽に入った

妻と娘の遺体が見つかったそうである。

性別も分からない程に腐乱して、液体と化した状態で。

そして、あの依頼主も、あの部屋からミイラ化して見つかった。

あの二つの箱の上に覆いかぶさるようにして死んでいたらしい。

あの箱から、出ようとする何かを抑えている様に。

そして、その顔は、あり得ない位の満足そうな笑顔だったという。

自分達が引っ越し作業に出向いた時、あの依頼主は既に死んでいたのか、

単に気が変になっていたのかは、考えたくもない。

その団地は、確かに実在した。







Posted by 細田塗料株式会社 at 12:39│Comments(5)
この記事へのコメント
営業のKさん

新年、明けましておめでとうございます
初めまして、中西と申します。
以前よりブログは拝見しておりました。と言いましても、怪談が主でありましたが。

今後も体験談を拝見出来る事を楽しみにしております。
幸多き年になる事をお祈りします。
Posted by 中西 at 2016年01月02日 19:39
中西様、はじめしまて。
以前からブログをお読み頂いているとの事で、本当に感謝致します。
そして、ご丁寧なお言葉、ありがとうございます。
中西様、はじめ、少ないながらも心強い読者の方の為にも、細々と続けていきますので、宜しければ、またお読み頂けると嬉しいです。
本当に感謝です。
Posted by 細田塗料K at 2016年01月02日 21:18
営業のKさん

やっと見付けました・・・私が初でコメントした記事はと。
これでしたね・・・この記事にはある意味、私の定説を覆させられた、そして地元兵庫で、そんな事があったんだなと、コメントせずには居れなかった記憶が蘇ります。

内川ダムの記事も忘れませんが、山陰の駅、そしてこのバイト・・・私のベスト3ですよ(泣

くれぐれもご自愛下さい。
Posted by 中西 at 2017年05月20日 20:25
Kさん、中西様
こんにちは。
誰も戻ってはコメント見られないでしょうが、あまりに気になったのでコメントさせて頂きました。

しかもKさん以外の方にまで、、(笑)

ただ、コメントのキャッチボールは危険かもしれないんで、投げて終わらせますが。
(の前に、Kさんにはさんで、中西様には様かいって…)

今まで読んできた中で、私が泣いたらコメントに泣きましたって書かれてたり、蹴ったらぶっ飛ばされるんだ?!と思ったら、蹴ったら飛ばされるんですね?!と私と同じ感性で読んでいらっしゃると勝手に笑ってしまった事も何度か。


しかも、地元は兵庫西宮。今は子供は須磨区の高校に通っております。
私にはまったく分かりませんが、ネットで兵庫や須磨区って猟奇的な事多くないか?と書かれてるのを読んでから、
マジで?!と驚いたのですが、、、跡地が学校に近いのか何処なのか、なんか心配、苦笑。

さて、ふたたび、過去記事に入って行ってきます。
とりあえず、私のここまでの所ビビった呆然度3は、山の主のへびの話と、お寺で叔父さんの葬儀で魔物が出た話と、平安時代からの最強の悪霊の話です。
(`・ω・´)キリッ
では。
Posted by メチャ✩ at 2017年06月22日 15:53
営業のKさん

この場をお借りして
>メチャさん

しつこく、念入りに、何度でも何度でも〜立ち上がり読むよ〜(ドリカム風)の、ターミネーターの様に何度でも戻ってくる私です(笑

西宮にお住まいですか、私は西区の更に奥、金物の町を通りぬけ算盤の町の出身ですよ、今は福岡に暮らして居りますが。

第六感はないものの、何故か不思議、恐怖体験に興味があり、辿り着いたのが細田塗料株式会社ブログでした。
細田さんの塗料は、下地に気を使わなくても発色が良く、垂れや色むらが少なく・・・すみません、使った事がありません、嘘をつきました、ごめんなさい(汗

何時かの記事にもコメントしましたが、Kさんの怖くない話しは、私にとって暖かいのですね。
だから応援しております。

それでは、今後とも細田塗料株式会社、ならびに営業のKさんを、宜しくお願いします(笑
Posted by 中西 at 2017年06月26日 22:48
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