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2016年01月06日

その山小屋には近づいてはいけない!

サインディスプレイ部  営業のKです。

今日も忙しく挨拶回りでした。

明日は、ミマキの大型フラットプロッタの納品です。

しかし、何故か、頭が痛い。

風邪気味なのか?

という訳で、今夜は1話アップして、さっさと寝ます。

長文ですみません(涙)

皆さん、おやすみなさい。

それでは。



俺の友人のなかに、趣味で山に登っている者がいる。

今日は、そんな彼から聞いた話である。

彼は、基本的に登山はひとりで行う。

一人の方が、自分のペースで登れるから疲れないとの事だ。

が、彼が行っている登山は、山歩きとかの部類ではなく、かなり

本格的なもの。

仕事が休みになると、短い期間でも、さっさと山に行ってしまう。

それも、真冬の山や、断崖絶壁も有るような危険な場所に好んで出掛ける。

その度に、○月○日~○月○日までは、山に行ってるから、基本的に

携帯は繋がらないから、とだけメールしてくる。

実際には、スマホも携帯しているそうだが、万が一に備えて、電源は

切っているそうである。

そんな彼とも、お互いのスケジュールが合った時、そう年間にして

2回~3回くらいは、一緒に飲みに出る。

そんな時、いつも話すのは、何故、そんな危険な場所にわざわざ行くのか?

という事である。

好き好んで、死にそうな場所に行くお前の思考が理解できない。

もしかして、自殺志願か?と笑いながら問う俺に、

違うって。登山した事の無いお前には説明しても絶対に分かってもらえない

だろうけど、あの清清しさ、そして絶景、そして何よりも、死と隣り合わせ

だからこそ感じることが出来る、生きているという実感。

あんな感覚は、町の中に居ても絶対に感じられないと思うぞ、と彼は返す。

ふーん。そんなもんかね、といつも俺は納得はしないのだが。

そんな彼に以前、こんな質問をしたことがある。

よく都市伝説的な話で、山小屋で明かりを消して、部屋の四隅に4人が

それぞれ立ち、A→B、B→C、C→D、D→Aとバトンをバスしていくと、

4人では成立しない筈のリレーが、きちんとA地点まで戻ってくるという

話を聞いたことがあるけど、あれって本当?

すると、彼はこう返してきた。

山小屋で、そんな事をする奴はいないと思うぞ。

というか、結論からいうと、そういう不可思議な事が山の上では平気で

起こっちゃうから。

だから、もしも、そんな遊びをしたとしたら、間違いなく、そのリレーは

最後の場所まで戻ってくるんだろうな。

だけど、俺はやらないよ。

もしも、リレーが戻ってきた時、あの狭い小屋の中がパニックになったとしても、

何処にも逃げ場か無い訳だしな!

そう、当たり前のように言われて、少し怖くなったのを覚えている。

そんな怖いもの知らずとも思える彼なのだが、一度だけ心底怖い体験を

した事があった。

まだ携帯電話も普及していなかった頃の話である。

その日、彼はいつも通り、ひとりで山に出掛けた。

その時は、かなり上級者向けの○○アルプスの山だったと記憶している。

前日から麓のペンションに宿泊し、夜の空け切らぬうちにペンションを

出発した。

天気は、晴れで清清しい空気の中を彼は山小屋目指して歩いた。

通常、ケーブルカーらしきものがあり、登山者を途中まで運び上げて

くれるのだそうだが、さすがに快晴とはいえ、冬の期間は、動いていない。

それも当然、頭に入っていた彼は、早めにペンションを出て、彼自身の

ペースでひたすら歩いた。

背中には、3日分の食料や衣類などを詰め込みかなりの重さだったが、

快晴の天気がその重さを忘れさせてくれたという。

順調に、歩を進める彼だったが、正午を回った頃から少しづつ天気が

崩れ始め、あっというまに、辺り一面が雪景色になってしまう。

が、そんな天候の崩れなど、過去に何度も経験している彼は、想定内

と判断し、そのまま、山を登る。

だが、夕方近くになると、雪は更に激しくなり、視界もほとんど見えなくなり、

かろうじて彼の歩いていく前方が微かに見える程度になった。

すると、何処からか声が聞こえた。

おーい。山小屋はここだぞ。

そのまま進んで来い。大丈夫だ!まっすぐに進め!

彼は、俺の他にもこの山に登っている人が居たのか?とホッと一安心したが、

すぐに、冷静に考え、彼はすぐに歩を止めた。

いや、待て。山小屋までは、まだ1時間くらいは掛かる筈だ。

今、通り過ぎた目印から、大体1時間掛かるのは、過去に証明済みだ。

なのに、あの声は、何なんだ?

すると、再び、声がする。

おーい。どうした。もう山小屋からはお前の姿が見えてるぞ。

心配ないから、そのまま進めば、此処に着くから。進め。

しかし、彼は、自分の経験を選択する。

少し、右側に迂回しながら、微かな視界の中をゆっくりと進んだ。

すると、彼の歩いているすぐ横、左側に突然崖が現れる。

おいおい、何なんだよ。あの言葉のまま、進んでたら、この崖から

落ちてたぞ!

そう思い、

バカヤロー、死ぬところだったじゃないか。

ふざけてんじゃねえぞ!

と怒鳴る彼。

しかし、彼の声は、吹雪にかき消され、先程の相手の声も全く聞こえなくなっていた。

本当に冗談じゃねえぞ!とブツブツ言いながらも山小屋を目指す彼。

だが、それ以後、彼の耳には、ずっと、ヒソヒソとした話し声が聞こえだす。

しかし、冷静に考えてみると、こんな吹雪の中で、ヒソヒソと話す声など、

風の音に吹き消されて聞こえる筈も無い事は彼にもわかっていた。

その時、彼は、ある意味、開き直っていた。

というのも、過去に、同じ登山仲間から聞いた話を思い出したから。

山男とかいうと、男らしく死んでいく事も怖くないという印象があるが、

実際には、山で死ぬということは、極限の飢餓状態、寒さ、そして痛み

などを伴う事になり、当然、潔く死んでいく者ばかりではない。

なかには、孤独や痛み、寒さの中で、恨みや妬み、そして生への執拗な

までの執着を持ったまま、死んでいく者もいるという。

そういう死者は、道連れを常に探して山を彷徨っている。

そういうのに出会ったら、とにかく、自分をしっかり持つ以外に助かる方法は

ない、という話である。

もしかして、俺が選ばれたのか?

そう思いながらも、これも山の醍醐味(彼、いわく)と捉えて、自分のペースを

守ることに徹する彼。

そして、彼の経験通り、約1時間ほど登ると、ぼんやりと山小屋が見えた。

それでも彼は決して慌てたりせず、先程の事もあったので、必要以上に

ゆっくりと一歩一歩、山小屋へと歩を進める。

そして、山小屋がはっきり見える距離まで来ると、山小屋の中の明かりが

灯っている事に気付いた。

本当に誰か居るんだ!助かった!

そう思い、進める足にも力が入る。

そして、ようやく山小屋のドアの前まで辿りつき、ドアをゆっくりと開ける。

そして、こんばんは!とわざと明るい声で挨拶する彼。

だが、彼が山小屋の中に入ると、明かりはおろか、人っ子一人居なかった。

なんで?

しかし、彼を更に???にしたのは、山小屋の中が、つい今まで暖が

とられていたかのように、暖かかった事だった。

誰かが居て、俺が来たから隠れたのか?なんで?

もう怖いとかいう感情ではなく、不思議で理解不能な現象に頭が

クラクラしたという。

それでも、山小屋の中をくまなく探し、更に山小屋の回りもしっかり調べた。

だが、ふざけて外へ出られる様な天候ではなかったし、なによりも、

その山小屋の回りには、彼の足跡しか残っていなかった。

そして、ここら辺が、さすがに彼も山男なのだろう。

まあ、いっか、という結論に達し、さっさと晩飯の準備をしたという。

お前馬鹿だろ?という俺に、

だって、そう思う以外に、どう思えば良いんだ?と彼。

その後、夕飯を済ませると、彼は昼間の疲れから、あっという間に

睡魔に襲われた。

彼は、凍死を避ける為、薪ストーブを点けたまま、寝袋に入り眠った。

そして、彼は、夜中に目を覚ます。

外からは、ゴーゴーという吹雪の音が相変わらず聞こえている。

そして、何故か、薪ストーブが消えていた。

十分に薪は入れたし、消える筈はないんだが?

そう思い、再び薪ストーブを点けようと体を起こした。

そして、彼は体が硬直した。

窓という窓に、得体の知れない顔が並んでいる。

そして、窓をコンコンと叩いている。

彼は、一瞬、もしかしたら誰かが助けを求めているのかも、と思ったが、

すぐに考え直した。

こんな夜中に、しかも、こんな天気の中をこんなに

大勢の登山者が登ってくる筈はない、と。

それに、もしも本当に普通の登山者なら、窓など叩かず、さっさと小屋の中へ

入ってくる筈だ、と。

そう思い、アレは見てはいけないものに違いないと、そーっと寝袋の中に

深く潜り込んだ。

すると、今度は、どこからか、昼間聞いたあの声が聞こえてきた。

おーい。おーい。助けてくれ!と。

さすがの彼も体が恐怖で震えるのを感じたが、目と耳をぐっと塞ぎ、耐えていると

なんとか、そのまま再び眠りに落ちた。

そして、彼は、朝、目を覚ます。

相変わらず吹雪は止む気配すら見せなかったが、朝が来たというだで、

彼には、とても心強いものがあったという。

何とか、下山出来ないか、と朝食の後、山小屋から出てみる。

しかし、吹雪は昨日よりも酷くなっており、それこそ自殺行為だと

悟った。

山小屋から100メートル位まで雪の深さなどを調べに行き、このままじゃ、

やばいかもしれない、と思いながら、山小屋まで戻ると、山小屋の前には

男が一人立っていた。

足もあるし、はっきり見えてるし、しかも朝だし、幽霊なんてことはないだろ。

と彼は慌てて、小屋まで戻り、その男に声を掛けた。

彼の言葉に従い、山小屋の中に入ったその男だったが、何とか陽気に話す彼

とは対照的に、その男は、一言も喋らない。

なんか、間がもたないな、と思い、その男を凝視する彼。

すると、ある事に気が付いた。

この男は、この吹雪の中を山小屋まで歩いてきたのか?本当に?

それじゃ、なんで、この男は雪まみれにもならず、今ここにいるんだ?

そう考えると、背筋か寒くなる。

と、突然、その男は、低く消えるような声で聞いてきたという。

昼間、呼びかけるような声は聞こえましたか?と。

彼は、思わず答えてしまう。

聞こえましたけど、アレはなんというか、聞いてはいけない声かなつて。

彼がそう言うとその男はニターっと嫌な笑みを浮かべて言った。

そうですか。聞こえてるんですか、と。

その男の顔は、嬉しそうだったという。

すると、その男は、再び山小屋のドアを開け、外へと出て行った。

が、彼は止めなかったという。

もう彼には、その男が、生きている人間ではないということが、はっきりと

確信できたから。

そして、その後、今夜もこの山小屋に泊まらなければいけないと覚悟した彼は

窓やドアを塞ぐ事を思いつく。

そして、まず、窓を塞ごうと、小屋にあった木の板を釘で打ちつけようとしていた時、

彼は、あるものを発見する。

小屋の周りのあらゆる方向から、この山小屋の窓へと続く足跡。

そして、何故か、小屋から離れていく足跡は1つもなかった。

彼は、恐怖で、何かに急かされるように窓を塞ぎ、そして、最後には、

小屋の中から唯一のドアを塞いでしまう。

その後は、持参したウォークマンで音楽を聴き、気を紛らわせながら過ごした。

が、やはり夜はやってきてしまう。

その日の夜も、薪ストーブに多過ぎる位の薪をくべて、そして明かりを点けたまま

寝袋に入った。

が、やはり夜中に目が覚めてしまう。

点けて寝た筈の薪ストーブも明かりも消えていた。

そして、昨晩と同じ、いや、もっと強い勢いで窓ガラスに貼り付けた板を

叩く音が聞こえた。

彼は、起き上がり、手元のランプを点け、登山用のピッケルを握り締めた。

すると、昨日と同じ様に、男の声が聞こえてきた。

おーい。おーい。助けてくれ!

彼は恐怖で更に強くピッケルを握り締める。

すると、窓の向こうから、無数のおぞましい笑い声がゲラゲラと

聞こえてきた。

さすがに、気が変になりそうな彼は、そのままピッケルを握り締め、

寝袋の中へと逃げ込んだ。

そして、死を覚悟しながらも、本来、無宗教の彼は、ただひたすら

お経の一説を唱えていたという。

その声は、明け方まで続いたという。

そして、彼は、その後、一睡も出来なかった。

朝になり、ドアを塞いだ板を取り外し、再び外へ出てみた。

吹雪は一向に止む気配は無かったという。

すると、前方から、昨日の朝、小屋に来た男が歩いてくるのが見えた。

彼は慌ててドアを閉め、再び、ドアを塞いだ。

しばらくすると、ドンドンとドアを叩く音が。

そして、再びこう言ったという。

聞こえるんですよね?と。

そして、こう続けた。

今夜が最後です。

そして、ギュっギュっと雪を踏みしめる音をさせながら、遠ざかっていった。

今夜が最後って、どういう意味だ?

が、彼には、そんな言葉の意味などどうでも良かった。

吹雪だろうと、なんだろうと、今すぐ、下山する。

彼の頭には、これしかなかったという。

そして、彼は荷物を出来るだけ少なくし、防寒を厳重にした姿で小屋を出る。

そして、自分の経験と勘だけを頼りに、ズンズンと下山する。

すると、再び、あの声が聞こえてきた。

しかも色んな方向から。

おーい。こっちだ。こっちに来い。

いや、こっちが安全だ。こっちに来い。

こんな感じだったという。

実際、彼は下山の無謀さを悔いた。

それくらい酷い吹雪だったし、何より視界がほとんど無い状態だった。

そして、降り積もった雪の深さに、彼は何度も諦めかけた。

それでも、心の中で、山の神様、無事に麓までおろしてください、と念じつつ

もくもくと山を下った。

そして、体力の限界で、雪の中にうずくまった時、どこからともなく、

あの声が近づいて来るのが聞こえてきた。

どこだ。すぐに行ってやるぞ!

そして、

よーし、見つけたぞ。今行くからな!という声が聞こえ、吹雪の中に

大きな男のシルエットが見えたという。

雪山で死ぬのって、こういうものなのか?と死を覚悟した時、

下のほうから、ざわざわとした声が聞こえてきたという。

そして、彼を見つけて駆け寄る人達をぼんやりと見てから、彼は意識を失う。

そして、気が付くと病院のベッドに寝ていた。

意識が戻った彼に気付いた看護師さんによって、医者は来るわ、警察は来るわ、で

大変だったそうである。

部分的に酷い凍傷にもなっており、リハビリも大変だったし、警察らも

こっぴどく叱られたという。

だが、生きて下山出来た事が、彼には何よりも嬉しかった。

そして、最後に警察から聞かされたそうである。

あの天候の中、下山した貴方を叱責したりもしたが、結果的に貴方の判断は

間違ってなかったんですよ。

貴方が、下山した夜、貴方がビバークしていた山小屋が雪崩で潰されました。

もう跡形も無く。

本当に良かったですね、と。

そう告げられて、彼は、再びあの恐怖が蘇ったという。

そんな彼だが、相変わらず、山登りは止めていない。

まあ、説明できない素晴らしさがあるのだろうが・・・。

でも、怖くないのだろうか?

その恐怖の冬山は、今も当然、実在する。




Posted by 細田塗料株式会社 at 20:23│Comments(1)
この記事へのコメント
営業のKさん

過去にclub natureさんの怪談を好んで読んでいました・・・すでに更新はされていませんが・・・そこで、登山の醍醐味と山の不思議さを、知らされました。

入山する事自体が自己責任ですから、その先に何が待ち受けようと受け止めなければなりませんね。
山小屋での最後通告、その目的は不明ですが、それを機にご友人は命を取り止めた、同じく山を愛する方の警告だった、・・・と信じます。
くれぐれもご自愛下さい。
Posted by 中西 at 2017年05月20日 21:50
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