2016年03月09日

絶対に振返るな!

サインディスプレイ部  営業のKです。

今日は、また寒さが戻った1日でした。

ということで、怖い話スタートしますが、

今夜の話は、自分も話を聞いた時、

鳥肌が立ちました。

そこそこ怖いかもしれません。

それでは、どうぞ!



友人に、キャンプはしないのだが、自然が大好きな奴がいる。

キャンプをしない理由は、ゴツゴツした所や寝袋では寝られないという

単純な事なのだが、彼にとっては、最優先事項らしく、彼が出掛けるのは、

いつも、山や湖にあるコテージとか、バンガローであり、しかも、絶対に

一人で行くというのを信条としていた。

しっかりと管理事務所があり、色々と整備されていて、居心地は良いらしい

のだが、それでも、そんな虫の声しか聞こえない様な空間で、1人で

コーヒーを沸かし飲むのが、最高の幸せだったそうである。

その日も彼は、とある湖のコテージを予約して、現地に向かった。

管理事務所に車を停め、コテージまで歩いた。

そのコテージは、本当に湖のすぐ近くにあり、コテージの建物の一部が

湖の上に飛び出す形で建てられており、波音も心地よく、最高のコーヒーが

飲めそうだと彼は歓喜した。

ただ、季節が秋の終わりという事もあり、利用客は彼1人だけであり、他のコテージ

は、当然利用されてはいなかった。

勿論、これも彼の計算通りで、静かなコーヒータイムを他人の雑音に邪魔

されたくないのだという。

コテージは、1階建てなのだか、それなりに広く、電化製品もそれなりに

備わっており、全て木製の建物は、まだ新しくモダンだった。

また、湖に迫り出した部分は、テラスになっており、白く丸いテーブルと

それを囲む白いモダンな椅子。

一人で来るには勿体無いと思うのは俺だけだろうか?

そして、彼がこだわる寝床も、しっかりとしたベッドルームがあり、

快適に寝られそうだった。

しかし、湖を渡る風はさすがに冷たく、本来なら湖に迫り出した場所の

椅子にでも座って、コーヒータイムを楽しみたかったのだが、あえなく

挫折してしまう。

彼は、コテージなので、炊事器具が備わっているにも関わらず、あえて、

簡易バーナーで火をおこし、レトルト系の食品で晩御飯を済ませる。

勿論、登山や本格的なキャンプなら、致し方ないのかもしれないが、あえて、

不便な食事をしながら、キャンプ気分を満喫するのが、彼のスタイルだった。

そして、ラジオ。

しかも短波放送を聞くために専用の短波ラジオを購入し、静かな自然の中で

周波数を探りながら、聴くというのも、彼の趣味だった。

だから、彼は食事か終わると、短波ラジオで電波を探るのに没頭する。

こういう大自然の中の方が、探りやすいというのも、彼がひとりコテージ

に拘る理由の1つだった。

だからという訳ではないのだろうが、彼は、電気の照明は使わずに、ランタンの

明かりの中、ラジオの操作を続けた。

そのランタンの優しい明かりのせいもあるのかもしれないのだが、

前日までの仕事の疲れが溜まっていたのか、彼は、ラジオを操作しながら、

寝入ってしまう。

そして、余程、疲れていたのか、次に彼が目を覚ますと、夜の12時を少し

過ぎた頃だった。

とても寒く感じた彼は、急いで湯を沸かし、サイフォンでコーヒーをいれる

準備を始めた。

あえて、電気は点けずに、ランタンの明かりの中、彼は黙々と私腹の時間の

為に、コーヒーと水をサイフォンにセットし、点火する。

コーヒーのとても良い香りが部屋中に溢れた。

彼は言った。

うまく説明出来ないが、その時、空気が一変したのだという。

そして、先程まで聞こえていた虫の声も、完全に消え、波の音さえ、全く

聞こえなくなったという。

と、その時、突然、コテージのドアがノックされる。

コンコン。

コンコン。

彼は、体が硬直した。

こんな時間だから、当然、管理事務所の人は帰っているだろう。

だとしたら、一体誰が?

そう思うと、更に恐怖が増した。

彼は、声を押し殺した。

すると、また

コンコン

コンコン

とノックされた。

無音状態の中、そのノックする音はとても大きく聞こえた。

このまま、やり過ごそう!

彼は、そう思ったのだが、ひとつ重大な事に気付く。

彼は、そのドアの鍵をかけてはいなかった。

その事に気付くと、恐怖は更に増幅した。

そして、彼は、いつ、ドアの向こうからドアが開けられるか、とビクビク

しながらも、出来るだけ音を立てないようにドアに近づき、そして、これまた

出来るだけ音がしないように、ドアの鍵を閉めた。

こんな自然の中だから、野生動物も沢山居るだろうが、ドアをノックする

という事は、少なくとも人間に違いないと思った。

そして、それが、彼にとっては、最も恐ろしかったのだという。

もしも、殺人鬼とか変質者だったら?

そう思うと、気が気でなかった。

相変わらず、ドアをノックする音は、一定の間隔をあけて、続いていた。

彼は、更に音を立てないように、そのコテージの窓やドア全てきちんと

鍵か掛かっているか、をチェックした。

そして、冬用に置いてあったと思われるスコップを見つけ、護身用に

借用した。

問題はなかった。

が、入り口のドアに戻ると、ノックは、まだ続いていた。

完全に鍵が掛かっている事を確認し、更に護身用のスコップまで備わると

人間は、気が大きくなるものなのか、彼は、ドアの横にある窓から

ドアをノックしている者を確認する事にした。

そして、場合によっては、スコップを使い、排除する事も考えた。

ゆっくりと静かにドアに近づき、そのまま横にある窓のカーテン越しに

ドアの外に立つ者を見た。

彼は、後悔した。

そこには、白いワンピースを着た首が、やたらと長い女が裸足のまま、そこに

立っていた。

笑った口元と、白い部分しかない目。

そして、たった今、湖から上がってきたと言わんばかりに、その女の衣服からは、

ポタポタと水が滴り落ちていた。

そして、ノックしているとばかり思っていた音は、その女が、薄気味悪い笑みを

浮かべたまま、頭をドアにぶつけている音だった。

彼の戦闘意欲をかき消すには、十分過ぎる恐怖だった。

彼は、そのまま、ドアの前まで戻り、そして、そこから後ずさりするようにして

後方へと下がった。

そして、荷物を静かにまとめると、スコップを握り締めて、その場に座り込んだ。

闘うという気持ちは完全に消え、いかに建物の中に彼が居るのを知られない様に

するか、そして、万が一、アレが入ってきた時、いかにして逃げるか、という事で

頭が一杯だった。

そして、あの姿を見て、体から力が抜けてしまった彼にとっては、そこまで

下がり、座り込むのが精一杯だったという。

彼は、神頼みが嫌いな男だったが、その時ばかりは、心の中で必死に祈った。

すると、祈りが通じたのか、ノックの音が止んだ。

やり過ごすことが出来たのか?

彼は、一瞬、喜んだらしい。

そして、逃げるなら今しかない、と立ち上がった。

が、次の瞬間、その期待はあっさりと裏切られる。

背後に何かがいた。

間違いなく・・・。

彼のすぐ後ろに何かが立っていた。

すぐ後ろから聞こえる息づかい、そして、濡れた布を引き摺るような音。

また、ポタっポタっと水滴が床に落ちる音が聞こえていた。

そして、部屋中に生臭い臭いが充満していた。

そして何よりも、彼の背中にゴツゴツと何かが当たっていた。

当然、彼の頭の中には、先程ドアの向こうに立っていた女が浮かんだ。

あの女が、自分のすぐ後ろに立って、頭を彼の背中にぶつけているのが

容易に想像出来た。

彼は、ひどい悪寒とともに、体中に鳥肌が走る。

その時点で失神出来ていたなら、どんなに楽だったか、と彼は言った。

それほどの恐怖だったという。

その女は、背後から

ねえ?

と声を掛けてきたという。

彼は、体が金縛りにあったように動かなかったというが、それが彼にとっては

ある意味、救いだったのかもしれない。

その女に、ねぇ?と声をかけられると無意識に体が振り返りそうになった。

が、金縛り状態の体は、当然、振返る事など出来なかった。

そして、振返ったら、目の前には、その女が立っており、全てが終わるという

事が本能的に分ったらしい。

振返らない彼に対し、その女は、苛立ちとも取れるように、声を荒げる。

ねぇねぇねぇねぇと大声で連呼した。

彼は、その女の顔を間近で見る前に死ねたら・・・とすら考えた。

が、次の瞬間、その女は、彼の肩に両手をかけた。

服の上からでも分るくらい、冷たく、そしてベタっとした感触だった。

そして、その女は、彼の肩にかけた手に力を入れて、彼の体を振り向かせ

ようとした。

ケラケラと笑いながら・・・・。

そして、その女の力は、異常に強く、彼の体はあっさりと振返る事になる。

が、彼は、その途中、女の顔を見る前に、意識を失った。

そして、気がつくと、既に明るくなっており、彼は、床に仰向けで倒れていた。

また、入り口のドアは開いており、ドアまで、はっきりと分るくらいの濡れた

跡が続いていた。

彼は、そのままの状態で、自分の車に戻り、そのまま帰宅した。

そして、帰宅後、電話で管理事務所に事情を説明すると、一瞬の沈黙の後、

あっさりと電話を切られたという。

その女が、何だったのかは分る由もないが、彼はそれ以後、1人で出掛ける

事はしなくなった。

そのコテージは実在する。




Posted by 細田塗料株式会社 at 20:00│Comments(1)
この記事へのコメント
営業のKさん

違いの分かる男のゴールドブレンドの様なプロローグが・・・まさかの展開ですね(泣

機械の修繕が専門の私ですが、分解した各パーツを洗浄して再度組み上げる・・・こんな時は無の境地なんですよ(笑
そんな作業の後は、紫煙を燻らせながら、缶コーヒーブラックです(泣

その方のご無事が何よりです。
Posted by 中西 at 2017年05月21日 22:29
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